Date: 9月 20th, 2013
Cate: デザイン
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オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ダストカバーのこと・その6)

パイオニアのアナログプレーヤー、Exclusive P3のダストカバーは、
強化ガラスとウッドのサイドパネルを組み合わせた、取り外して持ってみると、
かなりの重量があることがわかる。

Exclusiveシリーズのチューナー、F3のウッドケースは、
普及型のチューナー本体とほぼ同価格ということが、発売当時語られていた。
おそらくExclusive P3のダストカバーも、
普及型のアナログプレーヤーと同じくらいのコストがかかっていることだろう。

それにこれだけの重量を支えるヒンジも、おそらく独自に開発したものではないだろうか。
パイオニアはExclusiveシリーズのパワーアンプのためのメーターも、
満足できるモノがなかったため、自分たちで開発している。
そういうメーカーの、そういうシリーズなのだから、ヒンジを開発していても不思議ではない。

これだけの物量(時間を含めて)をダストカバーに投入しているのは、ハウリングマージンを稼ぐためである。
つまりExclusive P3はダストカバーを閉じた状態でのレコード演奏が、
メーカーが想定したExclusive P3の音ということになる。

私がステレオサウンドで働くようになったばかりのとき、
試聴室に常備してあったのは、Exclusive P3だった。

もうすでにダストカバーは取り外してあったように記憶している。
付いていたとしても、すぐに取り外されたはずである。

記憶の中に、ダストカバーを閉じた状態での音の記憶がないし、
取り外して補完して会ったP3のダストカバーを手にとり、その重さを実感した記憶はある。

試聴室でのレコードのかけ方は、
オーディオマニアがリスニングルームでレコードをかけるのとは、少し違う面がある。

試聴室は、いわゆる試聴を行う場所であり、
そこでのレコードのかけ方は、一面をすべてかけるということは、まずない。
どこか聴きどころを数分かけるだけで、次の試聴レコードにかけ替える
その度に、P3の重たいダストカバーをいちいち開けたり閉じたりしていては、
余分な時間が蓄積されることになる。
だからダストカバーは、取り外されることになる。

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