サイズ考(その63)
ならばパワーアンプの入力にトランスをいれて、トランス出し・トランス受けとする方法がある。
ただこの場合でも、パワーアンプの入力にいれたトランスの2次側をどう処理するかが問題になる。
600Ω:600Ω(1対1)のトランスを使うのであれば、インピーダンス整合の問題に関しては、
同じことのくり返しになるし、2次側のインピーダンスが10kΩ程度のものを使うという手もあるが、
これですっきり解決というわけではない。
それにトランス・トランスと重なると、互いの巻線同士の共振を抑えるために、
レベルコントロール機能が他にあっても、数dB程度のアッテネーターを挿入してダンプする必要がある。
そんなふうに考えていくと、結局、トランスを受けるには、反転アンプが、
いまのところ、もっとも望ましい方法である。
さらに反転アンプの入力抵抗を取り払い、
いわゆるI/V変換回路にして、トランスの600Ω出力を受けるという手もある。
トランスを、I/V変換アンプで受けている市販のアンプは存在しないと思っていたが、
去年入手したスチューダーの回路図のいくつかを見ていっていたら、
40Wという、ラックマウント型のパワーアンプの入力部が、そうなっていたのに気がついた。
さすがスチューダー、である。