Date: 4月 27th, 2013
Cate: アナログディスク再生
Tags:

私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その32)

海老沢徹氏による連載「針先から見たスーパーアナログの世界」、
ステレオサウンド 75号に掲載されているこの記事のなかで、
ウェストレックスのカッターヘッド3D RECORDERが写真とともに紹介されている。

この3D RECORDER海老沢氏所有のもので、撮影のためにお借りしてけっこうな期間私が預っていた。
机の引出しの中にしまっていて、見たくなればいつでも好きな時に好きなだけ見れて、そして触れた。

3D RECORDERは実測で2060g。金属のかたまりであるから、ずしっと重い。
感覚的には実測値よりも重く感じる。
誌面の都合で写真が小さくなってしまったのが、いまでも悔やんでしまうのだが、
3D RECORDERはカートリッジとは、まったく別物であることを、実際に手にして実感していた。

カッターヘッドはラッカー盤に溝を刻んでいくもの、
カートリッジはプレスされた塩化ビニール盤の溝をトレースしていくもの、
だからこのふたつがまったくの別物であることは知識として理解はしていても、
実際にカッターヘッドの実物を見て手にすれば、感覚的に理解できるほどの違いが歴然としてある。

これで、私の中でカッティングマシンがアナログディスクのプレーヤーとして理想とはいえないことに確信を得た。
アナログディスクのプレーヤーが、プレスされた塩化ビニール盤を再生するものではなく、
ラッカー盤を再生するものだとしても、
カッターヘッドとカートリッジの違いについて考えれば考えるほど、
プレーヤーとしての理想は、別のところにあると考えるようになる。

これだけが理由ではないのだけれど、
リニアトラッキング方式がけっしてアナログディスク再生のトーンアームとして、
カートリッジを移動させるための機構として理想とはいえないと、
私は結論づけている。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]