世代とオーディオ(JBL 4301・その6)
いま目の前に4301の程度のいい中古品が出て来たら、買ってしまうかもしれない。
うまくタイミングが合ってさえいたら、私にとって初めてのJBLとなっていたかもしれない4301だけに、
いまでも、いい出合いがあれば欲しい、という気持が残っている。
4301は最初はアルニコモデルだった。
けれど1980年ごろからのアルニコ不足の波によって、フェライト仕様のBタイプへと変っていった。
アルニコの4301、フェライトの4301B、
程度が同じであればアルニコ、といいたいところだけれど、
4301に関してはやや事情が、他のJBLのスタジオモニターとは異る。
それはフロントバッフルの色。
4301は側版、天板、底板はウォールナット仕上げ。
4343だと、この場合フロントバッフルはブルーになる。
けれど4301は、なぜか黒だった。
4301Bもウォールナット仕上げだが、
フロントバッフルはブルーになっている。
これは実に悩ましい。
見た目では4301Bにしたいところだから。
こんなふうに書いていくと、
これを読まれている方の中には、
もしかすると4301はいいスピーカーみたいだから……、と思われる方も出てくるかもしれない。
その人たちに、私は積極的に4301はおすすめしない。
他にもっといいスピーカーシステムはいくらでもある。
4301は、あのときもうすこしで手が届きそうでついには買えなかったという経験をもつ、
そしてJBLのスタジオモニターに憧れをもっていた人、
私とほぼ同世代の人ならば、4301への、私のこの想いは理解してくれるはずである。
4月のaudio sharingの例会でも私より上の世代のOさんはすでに書いてるように、
4301の評価は高くない。
でも私と同世代のKさんという、
私とまったく同じ想いで、いまも4301に手を出そうかどうか迷っている人もいる。
彼も4301が買えずにオンキョーのM6を買っている。
そんな想いで4301をみている人は、世代的にも少数のはずだし、
世代が違ってくれば、また別のスピーカーシステムが、Kさんや私にとっての4301と同じ存在になろう。
私と同じ世代でも、JBLの4343に憧れのなかった人にとっては4301は、そういう存在にはならない。
世代と、あの時の憧れ・嗜好が一致しているからこその、ふたりにとっての特別な存在の4301である。
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まったく同意見です。私も当時大学に入ったばかり。アンプにサンスイのAU-D707を買って、さあ次はスピーカーだ(順番が逆かもしれませんが、私はアンプマニアだったので)というときに、秋葉原の電気街に出かけて行って、いろいろなスピーカーを物色していたところ、出会ったのがJBLの4301だったのです。秋葉原の電気街のおっちゃんがしきりに「AU-D707持ってるんだったらJBL鳴らさない手はないよ」と言うし、そのとき聞かせてもらったビッグバンドジャズの油の乗ったサウンドに思わずグラっとしかけましたが、いかんせん予算がない。アンプに奮発しただけに、1台6万円(ペアで12万円)も出せるわけがありませんでした。結局、その日はあきらめて、後日、ラオックス本店でさんざん試聴させてもらって、なんとか妥協できたダイヤトーンのDS-25Bmk2を買いました(こちらは当時でもペアで5万円くらいしかせず、予算に収まった)。そのDS-25Bmk2も10年ほど前、ヤフオクで売り払ってしまいました。その後、メインシステムは、ヤマハのNS-515、パイオニアのS-PM1000、そして現在はS-PM2000へと変遷しています。その一方で、サブシステムとして、社会人になった後、バブル期に買ったダイヤトーンのDS-500を鳴らしています。このDS-500は、実に低音の出ない、硬い音のスピーカーでヤフオクでダイヤトーンのスピーカー用に売られているエッジ柔軟剤を塗ってもまだだめです。そこで、これもバブル後期に手放したAU-D707を、この度ヤフオクで程度の良い出物があったので買い直して、ド素人みたいにラウドネス入れてDS-500をバリバリ駆動しています。私も、4301より音の良いスピーカーはいくらでもあることは、わかっているつもりです。我が家のメイン、ピュアモルトS-PM2000も、たぶん音の透明感、スケール感、迫力、繊細さ、どれをとっても4301に勝ると思います。しかし、しかしですよ!秋葉原で聞いた4301のあの「油の乗ったジャズの音」が忘れられないのです。あのとき、無理すれば買えなくもなかった、でもやっぱり現実的に考えれば無理はできかった。その口惜しさがおそらく4301を忘れさせないのでしょう。この際、サブシステムとして生き残っているDS-500を手放して、状態の良い4301を手に入れようかなと思うのですが、なかなかいいやつに出くわさない。アメリカ製ゆえの雑な作りから、エンクロージャの継ぎ目がはがれ、隙間ができたり、あと、ジャズファンはタバコ吸いが多かったことから、タバコ臭かったり(当方も、昔はタバコを吸っていましたが、7年前に辞めて今では逆にタバコ嫌悪症になっています)。てなわけで、今でもなかなか4301を手に入れられません-場所もないし、DS-500売るのも面倒だし、サブに5万円以上出すのもちょっと抵抗があるし。悩ましいかぎりです。
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ダイヤトーン DS-500の名誉のために一言。上でも書いたように、久々(25年ぶり)に手に入れたAU-D707で、最初はラウドネスを入れて、その後はBassを最大にして鳴らしこんでいたら、なんと、あの固く鋭く細い音しか出なかったDS-500から、見事な低音が出るようになってきました。嘘みたいな話です。おそらく、例のエッジ軟化剤でエッジが柔らかくなると同時に、今までほとんど動くことのなかったダンパーも動き出したのではないかと思います。今ではBassは5段階の3くらいで十分です。しかも、質感や、4301にとってなかなかの強敵です。特にジャズに向いているように思います。たとえば、強い弾力を感じさせるブンブンブルンというベースの音、鉄球を落としたような重いバスドラの音、厚手の硬質ガラスを思わせるピアノの高音弦の音、ビル・エバンスをはじめ、ジャズピアノトリオを聴きまくっています。世間で言われているDS-500の特徴 - 中音中心で穏やかな性格でクラシックの小編成の弦楽器やヴォーカルものに向いている-とはまるで裏腹に「パルシブでブルージーで刺激的だけどちょっと暖かいところがある」というのが、私が再発見したDS-500の音です。つい昨日、一昨日まで4301に買い替えるつもりだった気持ちがまた揺らいでいます。
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わたしも、秋葉で4301を聴いて、驚きました。
国産には無い音。ドラムのリアルさ。
わたしは、Bのブルーを買いました。