Date: 2月 22nd, 2013
Cate: ジャーナリズム,
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賞からの離脱(その16)

“State of the Art”賞の第三回にあたるステレオサウンド 58号には、
各選考委員による「ステート・オブ・ジ・アート選定にあたって」はない。
岡先生の「The State Of The Art賞の選考について」が載っている。

49号と53号に載っている「ステート・オブ・ジ・アート賞の選考にあたって」と
岡先生による49号と58号の文章、
それに49号、53号、58号、番外としての製造中止になったオーディオ機器を対象とした50号、
それぞれに選ばれたオーディオ機器を見ていれば、
それに選ばれたすべての製品について見ていくよりも、
ふだんから書かれているものを読んで、あの人の書くものだったら信じられる、という選考委員だけに絞って、
その人が、賞に選ばれた製品について書かれている文章を読んでいけば、
“State of the Art”への理解は自然とできあがってくるものである。

ステレオサウンドの誌面には、どの選考委員がどのオーディオ機器に投票したかはわからないようになっている。
けれどステレオサウンドを熱心に読んでいれば、おおよその想像はつく。

ただ賞に選ばれたオーディオ機器について書かれたものだけを読んでいては、
いつまでたってもオーディオにおける”State of the Art”について、まったくわからぬままになるのではないか。
だから、岡先生がステレオサウンド 66号に「あの賞の意味はどういうことですか」という質問を受け、
いろいろと説明しなければならなかった体験をいまだに重ねている、と書かざるをえないことになってしまう。

私は”State of the Art”から”Components of the year”へと賞の名称が変っていったのは、
ひとつには読者側に、その理由がある、と思っている。

しかも重要なのは、岡先生に「あの賞の意味はどういことですか」という質問をした読者は、
どういう人なのか、ということにある。

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