4343と4350(その13)
こういう考え方もできるのではないだろうか。
つまり、ウーファーの口径を小さくしたからこそ、
LS3/5Aとのクロスオーバー周波数を300Hz近辺からさげることが可能になった、と。
瀬川先生の話で重要となるのは、くり返しているように聴感上のエネルギーバランスである。
ウーファーならば、20cm口径よりも30cm口径のもの、
30cm口径よりも38cm口径のもののほうが、低音域のエネルギーの再現においては有利である。
口径が小さくなければ高域の再生周波数はのびるけれど、
低音域の、聴感上のエネルギー量は減っていく、といえよう。
38cm口径のウーファーのエネルギーに対して、20cmであろうと25cmであろうと、
充分につながるには300Hzあたりまでクロスオーバー周波数をもってこなければならない。
だとしたらウーファーの口径が小さくなれば、
一般的にはスコーカー(もしくはミッドバス)とのクロスオーバー周波数を上にもってきがちになるが、
考えようによっては、スコーカー(ミッドバス)が充分に下までのびているユニットであれば、
ウーファーの口径を小さくすることでエネルギーがおさえられることによって、
300Hzあたりより低い周波数でも、聴感上のエネルギーバランスがとれる、ということだって考えられる。
仮にそうだとしたら、ロジャースがReference Systemのウーファーに33cmという、
やや中途半端な感じのする口径を採用したのは、
できるだけLS3/5Aの持味を生かした上で(できるだけ低いところまで受け持たせた上で)、
サブウーファーによって低音の再生領域をできるだけひろげようとしたことからうまれた、
絶妙な口径である──、そんなことも考えられる。
ほんとうのところはどうなのかは、やはり音を聴いてみるしかないのだが、
いままでReference Systemの実物は中古でもみたことがないし、
このReference Systemを鳴らしている人を、オーディオ雑誌上でもみかけたことがないから、
Reference Systemの、LS3/5Aとのクロスオーバー周波数が150Hzが妥当な値なのかどうかは、
これからさきも結論が出せないままになるかもしれない。