Bösendorfer VC7というスピーカー(その14)
たとえば上杉アンプのコントロールアンプ、U・BROS1は、信号系の配線材の一部に鉄線が使われていることは、
設計者の上杉先生がなんどか記事に書かれているから、ご存じの方も多いだろう。
上杉先生は、鉄線を使ったことについて、スイカにかける塩を例えに出される。
スイカの甘味をきわだたせるために、ほんのすこし塩をふりかけるのと同じことで、
ある箇所にほんのわずか鉄線を用いることで、音がきわだってくる、とのことだ。
刺激的な音が出てくることを、もっともきらわれる上杉先生だけに、
確信犯的な、鉄線の使い方だ。
むやみやたらに鉄線を使ったら、音が濁って、がさつくだけだろう。
どこにどれだけ使うかは、
それまでアンプを数多く造ってこられた経験則によるものであることは、容易に想像できる。
アンプに関しては、1980年ごろ登場したサンスイのプリメインアンプ、AU-D907Limitedが、
銅メッキをシャーシーだけでなくネジ一本一本にまで施すことで、
磁性体に起因する歪を排除すのを目指したころから、磁性体の排除が活発になってきた。
たしかに磁性体の排除は効果があった。