Bösendorfer VC7というスピーカー(その15)
少なくとも国産アンプからは、磁性体は排除される方向で進んでいくと思われたが、
1991年、ビクターのモノーラルパワーアンプ、ME1000は、鋳鉄製のベース(重量33kg)に、
電源トランス、電解コンデンサー、ヒートシンクといった、
パワーアンプ内で振動源となりやすい部品をしっかり固定することで、
いわゆるメカニカルアース化(振動モードの一元化)をはかっていた。
ME1000、1台の重量は83kgである。
今年、今度はTADから、鋳鉄製ベースを採用したパワーアンプが登場した。M600だ。
M600の鋳鉄ベースも重量はほぼ30kgで、トータル重量は90kgと、ME1000と、ほぼ同じ規模である。
M600も、鋳鉄ベースに、電源トランス、電解コンデンサー、ヒートシンクをしっかりと固定している。
ME1000もM600も、一台のアンプに使われる鉄の量としては、過去最大ではなかろうか。
なぜ、あえて鉄を選んだのだろうか。