Archive for 7月, 2019

Date: 7月 3rd, 2019
Cate: 真空管アンプ

Western Electric 300-B(その23)

300Bのプッシュプルアンプの前に作る予定の6F6のプッシュプルアンプは、
本番(300Bのアンプ)のために試しておきたいことがあるからでもある。

昨晩の「オーディオの楽しみ方(つくる・その42)」、
ここでの自作の電源コードの一工夫は、そのまま真空管アンプの内部配線にも使える。

大袈裟、大掛りでもよければ、出力管を含めてヒーターの定電流点火にしたいところだが、
すでに書いているように、ここでの300Bのアンプでは、そこまでするつもりはまったくない。

それでもヒーター(フィラメント)の点火の仕方は、
試したことのない方にとっては想像以上の音の変化だと思う。

真空管アンプ内部には、信号ラインの他に、
電源系も高電圧・小電流の直流、低電圧・大電流の交流とがある。

ここをどう処理するのか。
配線テクニックの腕のみせどころとなるわけだが、
それよりも、周囲のケーブルに影響を与えない、
周囲のケーブルからの影響を受けにくいような方式を採用すべきである。

今回の自作の電源コードの構造は、ずっと以前から試そうと考えていた。
自作の電源コードのヒントは、中学生時代に読んだ技術書の中にあった。

こういう手法があるのか、と思ったし、
オーディオ機器はなぜ採用しないのか、とも疑問に思っていた。

システムコンポーネントの組合せの自由度の高さを、
その方式は少しばかり損うことになる場合もある。

それでもメリットは大きい。
とはいえ、私もずっと頭のなかにあるだけで、手を動かして試してはこなかった。

それを思い出したようにいまごろ実践したのは、いくつか理由がある。

Date: 7月 2nd, 2019
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(つくる・その42)

自作の電源コードに使用したのは、それほど高価なケーブルではない。
というよりも安価なケーブルである。

なので高純度を誇るケーブルでもないし、
特殊な構造をもつモノでもない。

ごく一般的なケーブルで、一工夫しているだけである。
その一工夫は、周囲のケーブル(電源・信号含めて)に影響を与えない、
影響を受けないを目的としたものだ。

もちろんまったく影響を与えない、受けないわけではないが、
理屈からいっても与えにくい、受けにくいようになっているはずだ。

「手放せない存在になってしまった」といってくれた人のところに、
自作の電源コードは行っている。

いろんなところに持ち歩いて、試されているようである。
先日も、その話をきいた。

とある個人宅に持ち込んだ、とのこと。
たいていのところはラックの裏は、
信号ケーブル、電源コードが複数本ずつあり、
すっきりとしているところのほうが少ないのかもしれない。

そのお宅もぐちゃぐちゃの状態であった。
にも関らず、自作の電源コードは、期待通りの音を出してくれた、とのこと。

オーディオアクセサリーにありがちなのは、
自分のシステムでは非常に効果的で、
冷静に聴いても音を良くしてくれていると自信をもっていえても、
環境の違うところに持っていき試してみると、あれっ? ということは少なくない。

「手放せない存在になってしまった」といってくれた人も、
そういう体験をこれまでにいくつもしてきたそうだ。

特にケーブルはそういう傾向が強い、と私は思っている。
にも関らず、自作の電源コードは、
これまで試してどこででも期待通りの音を出してくれる──、
そのことに感心してくれていた。

電源コードの意図・目的については、まったく話していなかった。
にも関らず、そういう話をしてくれた。

Date: 7月 2nd, 2019
Cate: audio wednesday

第102回audio wednesdayのお知らせ(ラジカセ的音出し)

カセットテープ全盛時代であれば、
カセットテープ、カセットデッキをテーマにした音出しならば、
あれもやってみよう、これも、といったふうに準備もできるけれど、
もういまやそんな時代ではない。

メタルテープは、新品はどこにも売っていない。
カセットデッキの新製品(といってもほとんどないが)にドルビーが搭載されなくなった。

ドルビーがドルビー用ICを製造しなくなったためである。
カセットテープの人気復活という記事を、昨年何度か目にしたけれど、
そういう状況下であることも事実だ。

つい数日前に思い出したのだが、
そういえは、瀬川先生が熊本のオーディオ店に定期的に来られていたとき、
カセットデッキの試聴の日があった。

今回はカセットか……、と思いながらも参加してみれば、やはり面白い。
どんなことをやられたのか憶えているけれど、
同じことをいまやるのは、ほんとうに大変である。

そしてもうひとつ思い出したのは、次の日のことだ。
瀬川先生の試聴会は、土日二日間行われていた。
土曜日がカセット、日曜日がトーレンスのREferenceを聴く、であった。

日曜日、その日の音、特に最後にかけられたストラヴィンスキーの「火の鳥」は凄かった。
けれど、瀬川先生はぐあいが悪そうだった。

いつもなら、終った後にリクエストに応じてくれたのに、
その日ばかりは、さーっと奥に戻られてしまった。

「火の鳥」が鳴っていた時も、顔色は悪かった。
店を出ると、駐車場から瀬川先生を乗せたクルマが出て行った。
後の座席でぐったりされていた瀬川先生の姿が、目に焼きついている。

カセットでの、こういう場での音出しというと、どうしてもおもいだす。

明日(3日)のaudio wednesdayは、カセットテープがテーマである。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時からです。

Date: 7月 1st, 2019
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(OTOTEN 2019にて)

アナログプレーヤーを輸入している出展社のブースで、
スタッフ(40歳くらいだろうか)の方が、
アナログディスク再生の大事な五つのポイントを話された。

輸入しているアナログプレーヤーの開発者から直接レクチャーを受けたもの、とのこと。
その五つのことは、確かに大事なことである。

トーンアームの調整にあたって、この五つのポイントはその通りである。
けれど、私くらいの世代、上の世代にとっては、
その五つのポイントのなかに、新しいことはひとつもなかった。

それはそれでかまわない。
話を聞いていて思っていたのは、
スタッフの人にとっては、そこでのレクチャーはとても新鮮で、
大事なことだと感じたからこそ、OTOTENで来場者に伝えたかったのだろう。

でも、その五つのポイントは、
1970年代のアナログディスクの再生について書かれたものにはすべて載っていた。

けれど、スタッフの人の世代にとっては、
その手の書籍も入手できなかった(読めなかった)のかもしれない。

見た目は40歳くらいに見えたけれど、実際のところはいくつなのかは知らない。
40歳前後だとして、私とひとまわりくらい違う。

その十年ちょっとのあいだに、アナログディスク再生に関する断絶は、
私の想像以上に大きいのかもしれない。

まずこのことを思っていた。
もうひとつ思っていたのは、
五つのポイントは大事なことであるけれど、
知っていたけど忘れてしまった人もいるだろうし、
知っているよ、という人であっても、どこまできちんと調整できるのかといえば、
甚だあやしいのが、現実である。

しかも、この現実は、ここ最近のことではない。
CD登場前から続いていることであり、
日本だけのことではなくアメリカにおいてもそうであることは、
以前マッキントッシュのゴードン・ガウが語っている。
ヨーロッパにおいてもそうなのかもしれない。

大事なことはしつこいくらいにくり返しくり返し語っていかなければならない。
それでも、きちんと理解して実行できる人は、どのくらいいるのか。

Date: 7月 1st, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その10)

OTOTENでもインターナショナルオーディオショウでも、
各ブースの入口の側にはテーブルがあり、
そこにはカタログ、ブースによってはアメが置いてある。

今年のOTOTENでのソニーのブースの、そのテーブルにあったのは、
ウォークマンだった。
初代(TPS-L2)と二代目(WM2)があった。

どちらも約四十年前の製品、
しかも持ち運ぶ製品にも関らず、そうとうに程度のいいモノだった。

ソニーで保管していたものなのだろうか。
そんな感じのする二台のウォークマンだった。

20代くらいの来場者が、ちょっとばかり興奮気味に、ソニーのスタッフに、
写真、撮っていいですか、ときいていた。

彼の年代にとって、実機を見るのも触るのも初めてなのかもしれない。
しかも新品同様といえるウォークマンである。

興奮気味なのも無理ない。

WM2の方にはテープも入っていて、再生状態だった。
おそらくソニーの関係者と思われる女性(30前後か)が、
スタッフの男性に、聴いていい? と訊ねていた。

ヘッドフォンで聴きながら、「80年代の音ですね」と感想を述べていた。

そうか、80年代の音なのか、と私は、そのフレーズをくり返していた。

TPS-L2は1979年、WM2は1981年発売だから、
WM2の音を聴いて「80年代の音ですね」は間違ってはいない。

それでも、30前後に見える女性が、
何をもってして「80年代の音ですね」といった、その理由は知りたいところ。