瀬川先生のカートリッジのクリーニング方法。
アナログ全盛時代を体験された方ならば、おそらくひとつ以上はお持ちであろう
FR社のカートリッジ・キーパー・ケース。
5つのカートリッジをヘッドシェルにとりつけたまま収めることができて、
カートリッジの持ち運びにも便利なこのケースの内部は、硬めのスポンジ。
瀬川先生は、このスポンジ部分で、 カートリッジの針先の汚れを落とされていた。
カートリッジを指で持って、針先で、 このスポンジを、まっすぐにひっかく。
だから、瀬川先生のケース内のスポンジは、 ひっかきキズだらけ。
もちろん、慣れていないと針先がとれてしまったり、
カンチレバーをいためたり曲げたりするため、 だれにでも勧められる方法ではないけど、
これがいちばんだ、と話されていた。
液体のスタイラスクリーナーは、よほどしつこいゴミが付着したとき以外は、
まったく使わない、とも話された。
アルコールが主成分だが、すぐにすべてが蒸発するわけでなく、
カンチレバーの表面を、蒸発せずに残ったクリーナー液が毛細管現象でダンパーに届き、
変質もしくは傷めてしまうから、ときいた。
レコード(アナログディスク)のクリーニングも液体はいっさい使わず、
もっぱらビロードを円筒状にしたセシルワッツのクリーナーを愛用している、とのこと。
そして、大事なのは、聴き終ってレコードを内袋に収める前にクリーニングすること、と言われた。
スクラッチノイズは、ディスクに付着したゴミよりもキズが原因であり、
意外にキズがつきやすいのが、ゴミを付着したディスクをそのまま保管しているときだからだ。