ロングランであるために(続々サンスイの場合)
アクアオーディオラボのことが、こうやって記事になるのは、サンスイが破綻したからであって、
破綻しなければ、アクアオーディオラボのような存在は必要ない──、
ということには決してならない、と私は思っている。
1970年代のオーディオブームには、いくつもの会社がオーディオに参入した。
専業メーカー以外もいくつもあり、いまもオーディオ機器を開発・製造しているメーカーはあるけれど、
かなりの数のメーカーがオーディオからは撤退した、ともいえる。
そのころの製品、そのあとの製品でもいい、
製造終了後、10年以上経過した製品の修理をきちんと対応してくれるメーカーが、
どれだけあるのだろうか。
経営破綻しなかったオーディオメーカーは、ある。
その会社の製品がこわれて修理が必要になったとき、どこまで対応してくれるのか。
旧い機種であれば、相当数の機種が修理をことわられることが多いはず。
大きな会社だから修理をしてくれる、とか、反対にしてくれない、とか、
そういうことではなく、会社の体質としての問題であろう。
アクアオーディオラボについては朝日新聞のウェブサイトの記事を読めばわかるように、
サンスイでアンプの開発・製造に携わってこられた方たちによる会社である。
この方たちが、こうやって、いま集まってサンスイのアンプの修理を継続されているのは、
やはりサンスイという会社の、修理に対する意識の高さがあったからのようにもおもえてくる。
朝日新聞の記事では5分ほどの動画もみられる。
見ていて、AU-D907 Limitedの修理のことを、私は思い出していた。
サンスイという会社につとめられていたからこそ、この方たちは集まった、とおもえてならない。
サンスイがまったく違う体質の会社であったなら、この方たちは集まらなかったのかもしれない。
こういうメーカーの製品は、ひとつ手もとに置いておきたい。
いまになって、AU-D907 Limitedを手離したことをひどく後悔している。