Date: 12月 21st, 2012
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その30)

このころはB&Oの美しいプレーヤーがリニアトラッキングだった、
それからすこし遅れて登場したルボックスのプレーヤーもそうだった。
日本ではマカラ(エアーフローティングを採用した最初のプレーヤー)とヤマハからも出ていた。

B&OのBeogramは、オーディオのことは何もまだ知らない少年の目にも、美しい、と映った。
こういうプレーヤーが採用しているのだから、それだけでもリニアトラッキング型のトーンアームは理想と思えた。
ルボックスB790とB&Oとでは、同じリニアトラッキング型でも実現のための方式は違っていた。

ヤマハのリニアトラッキング型を採用したPX1のデザインは、
B&Oとは大きく違っていて、
PX1がプリメインアンプのCA2000、CA1000と同系統のデザインだったら……、とそんなことを思ってしまうほど、
路線が変ってしまっていたプレーヤーの姿だった。

マカラのプレーヤー4842Aは、メカニズムというつくりで、B&Oとは正反対のプレーヤーであった。
ある部分EMT的でもあったし、とにかくそれまで日本のプレーヤーではあり得なかった造形であった。
4842Aはなかなか実物を見る機会もなかった。
製造中止になってかなり経って、やっと見ることができた。
でも、音は聴けなかった。
完動品があれば、一度は音を聴いてみたい機械である。

1970年代も終り近くになると、
リニアトラッキングは高級プレーヤーだけのものではなくなっていた。
ダイヤトーンからは縦置きの普及クラスのプレーヤーに、
テクニクスではLPジャケットサイズのプレーヤーSL10に、リニアトラッキングを採用していた。

リニアトラッキングは、もう特殊なトーンアームではなくなりつつあった。
これは、スピーカーにおいて平面型振動板が一時期流行したことと、
すくなくとも日本では同じ現象でもあったと思う。

そして1980年代のなかごろに、海外の小さなメーカーから、
リニアトラッキング型のトーンアームがいくつか登場してきた。
ゴールドムンド、エミネント、サウザーなど、である。

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