Date: 12月 21st, 2012
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その29)

物量を投入したプレーヤーでなければ聴けない音があることは、何度か書いてきている。

私が小さいころには、テレビから「大きいことはいいことだぁ」というコマーシャルが頻繁に流れていたし、
EMTの930st、927Dst、トーレンスのリファレンス、
マイクロのRX5000 + RY5500、SX8000IIといったプレーヤーの音に惹かれてきたからこそ、
いまでもそう思ってしまうのだろうが、
そう思う理由は、カッティングマシーンという存在にあるのではなかろうか。

カッティングマシーンといえば、1990年頃だったと記憶しているが、
ある人から、「カッティングマシーンの出物があるけど、買わない?」という話が来た。
価格は驚くほど安かった。
無理すれば買えない金額ではなかった。
けれど、設置場所のことを考えると、購入したところで結局は手離すことになってしまう。
それに、カッティングマシーンが再生用のレコードプレーヤーとして理想的なものかというと、
決してそうでないことを知っていたので、買わなかった。

そのころは、カッティングマシーンへの憧れは持っていなかった私も、
オーディオに関心をもちはじめたころは、そうではなかった。
カッティングマシーンこそが、再生においても理想的なマシーンである、と盲目的に信じていた。
だからトーンアームは一般的な弧を描くタイプではなく、
リニアトラッキング型こそが理想である、と信じていた。

まだリニアトラッキング型のトーンアームを備えたプレーヤーの音を、
なにひとつ聴いたことがなかったにもかかわらず、である。

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