Date: 11月 26th, 2012
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その6)

1970年代のステレオサウンドには「オーディオの名器にみるクラフトマンシップの粋」という連載記事があった。
39号ではガラード301とともに、トーレンスのTD124、TD224が取り上げられている。

「クラフトマンシップの粋」でターンテーブル、プレーヤーが取り上げられたのはこの時だけで、
ガラードだけでもなく、トーレンスだけでもなく、
ガラードとトーレンスがいっしょに取り上げられているところに、
ガラードとトーレンスの日本のオーディオ界におけるポジションをとらえている。

「クラフトマンシップの粋」の記事構成はカラーグラビアが4頁あり、
それから岩崎千明、長島達夫、山中敬三の三氏による鼎談である。

カラーグラビアの見開きでは右頁にガラード301、左頁にトーレンスTD124/IIが並んで撮られている。
301とTD124、このふたつのターンテーブルのデザインを見比べてすぐに気がつくのは、
TD124はトーンアームベースを含めてデザインされて、製品としてまとめられている。
301はあくまでもターンテーブル単体としてのデザインである。

この違いがプレーヤーシステムとしてまとめられたときのデザインの違い、完成度の違いになってあらわれる。

私はガラードの301よりも401に惹かれ、
401よりもトーレンスのTD124に惹かれる。
それはなんども書いているようにプレーヤーシステムとしてのまとまりのよさがTD124には、
はっきりと感じられるからだ。

トーレンスはプレーヤーシステムとして完成度を考えてのデザインであり、
ガラードにはプレーヤーシステムとしてのデザインという考えが、私にはどうしてもみえてこない。

ガラードは301、401で、どんなプレーヤーシステムを目ざしていたのか。
ガラードからもプレーヤーシステムは登場している。
でもそれらは301、401をベースにしたものではない。

ガラードの顔といえるのは、301であり401である。
なのに、その顔をベースにしたプレーヤーシステムがないし、その姿をイメージできない以上、
ガラードの301、401をトーレンスのTD124を比較することは、
プレーヤーシステムということを念頭におくかぎりは無理なことである。

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