瀬川冬樹氏とスピーカーのこと(その7)
スペンドールのD40は、
スペンドールの設立者であるスペンサー・ヒューズの息子、デレク・ヒューズの設計となっている。
スペンドールのスピーカーシステムの型番は、
たとえばBCシリーズは、
ウーファーの振動板のベクストレンとトゥイーターに採用されているセレッションを表しているし、
小型のSA1は、
自社製のウーファーとフランス・オーダックス製のトゥイーターを採用していることからつけられている。
そういう型番のつけ方をしているスペンドールだから、
D40のDは、デレク・ヒューズの設計を表している、と考えていいはず。
D40はコンパクトなプリメインアンプで、
機能も最小限度のものしかついていない。
入力セレクター、バランサー、レベルコントロールだけ。
外形寸法はW33.2×H9.6×D22.3cm、重量は6kg。
出力は型番からわかるように40W+40W。
回路についての技術的な説明はなにもない。
D40についての製品解説をしようと思っても、あまり書くことが見当たらない、
そういうプリメインアンプである。
けれど、このD40は、スペンドールのスピーカーシステムと組み合わせたとき、
なぜ、こんなつくりのアンプなのに、と思いたくなるほどの音を聴かせてくれる。
私はいちどだけBCIIとの組合せで聴いたことがある。
D40よりも物量を投入したプリメインアンプ、セパレートアンプのいくつかでBCIIを聴いたことはある。
そのどれよりも、D40で鳴らしたときに、BCIIは、こういう音も鳴らせるのか、という驚きがあった。