日本のオーディオ、日本の音(その12)
ソニーTA-NR10、マークレビンソンML2(No.20)のヒートシンクはシャーシー内部・外部の違いはあれど、
左右に振り分けられている。
おそらくNPN型トランジスターとPNP型トランジスターとで振り分けられているのだろう。
言い換えれば+側と−側となる。
そうなるとヒートシンクは最低でも2基必要になり、TA-NR10ではそうなっているのに対し、
ML2(No.20)では6基のヒートシンクを使っている。
ML2(No.20)の6基のヒートシンクうち2基は定電圧電源の制御トランジスター用であり、
出力段用のヒートシンクは4基となり、
+側、−側で分けて、さらに2分割しているわだ。
どちらもA級動作のパワーアンプで発熱量は大きいため、
ヒートシンクも大きなものを必要とするわけだが、
それに対し大きなヒートシンクを用意するか、中型のヒートシンクを複数用意するか、がある。
ソニーは前者であり、マークレビンソンは後者の手法をとっている。
これによってもアンプの音を変える要素となっている。
しかもそのヒートシンクの取り付け方法が、ソニーとマークレビンソンとでは違う。
TA-NR10のヒートシンクは材質は純銅と、それまで採用例のない、
熱伝導率がアルミニウムよりも優れているものだが、
ヒートシンクの形状は一般的なもので、いわゆる櫛のようにフィンを均等に並べている。
ML2(No.20)のヒートシンクは、星形ともいわれるもので、
アルファベットのHの、左右の縦のラインを放射状のフィンにしたもので、
シャーシー本体への取り付けは、Hの字の水平のラインを使っている。
つまりTA-NR10はシャーシー底部に、
ML2(No.20)はシャーシー側面に、それぞれ取り付けられている。