日本のオーディオ、日本の音(その2)
月日の経つのは早い、ということう実感するのは、1年のうちにいくつかある。
9月の終りから10月にかけてのこの時期も、毎年そう感じる。
9月25日はグレン・グールドの生れた日で、10月4日は亡くなった日だから、
今年は、もう30年経ったのか、と思う。
自分の誕生日よりも、この時期がくるたびに月日の経つ早さを感じるのは、
グールドによるバッハやモーツァルト、ブラームスなどがまったく色褪せないからなのだろう。
グールドのCDは、いまも発売され続けている。
今年は生誕80年、没後30年ということもあって、ソニーからグールド・ファンの購買力を狙った企画CDが登場した。
いったいグールドの、この手の企画CDはどれだけあるのだろうか。
ソニーはジャズでは、マイルス・デイヴィスで同じことをやっている。
もういいかげん、すべてのグールドの録音をSACDにしてほしい、というのが、
きっと多くのグールド・ファンの願いだと、勝手に想像しているのだけど、
今年出なかったということは、次に可能性の高いのは10年後、
それとも生誕100年、没後50年にあたる20年後の2032年なのだろうか。
2032年、SACDというフォーマットはあるのだろうか、とも思う。
だから、もったいぶらずにさっさと出してほしいのに……。
でも、グールドのCDは、結局売れるのだから、全タイトルのSACD化は売れ続けているうちは、
ずっと先延ばしにされるのだろう、となかばあきらめている。
ステレオサウンドからは石英CDで、
ゴールドベルグ変奏曲が1枚CDの価格として非常に高価な136500円で出ている。
この石英CDに、まったく興味がない、と言い切りたいところだが、
興味がないわけではない。
聴いてみたい、とは思う。聴いたら、欲しくなることだろう。
とはいえ、13万円を越えるCDに手を出すのがグールドの聴き手としてふさわしいのだろうか、
と、なかば、言い訳がましいことも考えもする。
1枚のCDに13万円を投ずるのであれば、私ならば13万円に、さらに予算を足そう。
といっても13万円の倍でも足りないくらいではあるのだが、
ダイヤトーンのスピーカーシステム、2S305を手に入れたい。
2S305で、グールドのゴールドベルグ変奏曲を聴きたい。
ゴールドベルグ変奏曲だけではなく、
グールドが
「これはコンピューターにまさるとも劣らぬエレクトロニック・マシーンだ。ぼくはチップ一枚はずんでやればいい」ピアノといったヤマハのCFによる録音(演奏)を、
もっとも日本的といえるスピーカーシステムといえる2S305で聴きたい、というおもいが日増しに強くなっている。