Date: 8月 27th, 2012
Cate: オリジナル
Tags:

オリジナルとは(その26)

アナログディスクの周波数レンジは、どうなのだろうか。
ダグラス・サックスによると、カッティングレースは8Hzまでフラットなカッティングが可能、とのこと。
高域に関してはノイマンのレースでは25kHzまで、だそうだ。

8Hzから25kHzまで、CDと数値の上だけで比較してみると、遜色ない。
CDはDC(0Hz)から可能だが、現実にはそこまで帯域が延びている必要性を感じることは、まずない。
高域は単純に比較するとアナログディスクのほうが延びていることになる。

左右チャンネルのセパレーションは、どうだろうか。
15kHzのセパレーションを光学的な方法で測定すると35dBは確保できている、らしい。
このセパレーションの値だけは、CDと比較して大きく劣ることになるものの、
アナログディスクのもつスペックは、あなどれないことがはっきりとしてくる。

これらの値は、ひじょうに注意深くつくられたアナログディスクにのみいえることで、
S/N比と密接な関係にあるダイナミックレンジは、ダグラス・サックスが語っているように、
それぞれのプロセスで劣化していくものでもある。

とはいえ、アナログディスクの器としてのイメージは、
一般に思われているよりもそうとうに大きい、といえるわけだが、
このスペックはあくまでも、LPというレコードの最大スペックであり、
再生側がこれらの特性をあますところなく発揮できるかというと、そうではない。

ダグラス・サックスによれば、
中域・低域に関しては、市販されているいかなるカートリッジのトラッキング能力もこえるだけのレベルの記録は、
いまのどんなカッティングシステムももっている、とのこと。

彼はこう言っている。
     *
再生能力をこえるようなレコードをつくることはむしろよくない。そういうものをベストというべきではなく、ベターの段階でとどめておくべきであり、よい再生というのはその限界を心得たよいシステムによって得られるといえるでしょう。
     *
時代ととともに再生側は進歩している。
だからその進歩に応じて、ベターの段階も、年々向上していくように、
レコードの制作者側は、レコードをつくり送り出していた。

いいかえれば、アナログディスクの場合、つねにレコードの送り手(制作側)の技術的限界は、
再生側の技術的限界よりも上にあった、ということだ。
この点が、CDとの大きな違いである。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]