ロングランであるために(その4)
927の原型であるR80と930stが、耐久性においてまったく同じであるとはいえないかもしれないが、
930stもスタジオ用プレーヤーとして開発され、多くのスタジオで使われてきた実績があるということきは、
耐久性において、定期的なメンテナンスをやっていけば、かなりの長期間に渡って信頼できる性能を維持できる。
930stや927Dstよりも、性能の高いアナログプレーヤーはダイレクトドライヴの出現によって、
普及クラスのプレーヤーであっても登場してきている。
ワウ・フラッターにしてもカタログ発表値は普及クラスのダイレクトドライヴ型のモノが低い値だ。
けれど、それらのアナログプレーヤーを10年、20年スタジオという現場で使っていったとき、
どういう変化を見せるであろうか。
私の趣味に自転車がある。
いまから17年前に、はじめてロードバイクを購入したとき、
自転車店の人にいわれたのは、コンポーネントの価格の違いについて、であった。
私が選んだのはシマノのデュラエースだったが、
シマノのコンポーネントにはグレードがあり、デュラエースをトップにその下にアルテグラ、105があった。
自転車店の人によると、これらの性能はほとんど同じだ、ということだ。
ギアの変速、ブレーキの制動具合など、価格ほどの差はない。
なのにこれだけの価格の差がついているのは、
初期性能をどれだけ維持できるかということの違い、ということだった。
もちろんグレードの違いには、それだけではなく、
仕上げの違い、操作感の違いなども当然あるのだが、
数多くの自転車を組み上げ、調整しメンテナンスをしてきたプロの言葉には、重みがあった。
EMTのアナログプレーヤーの良さ、
といってもEMTのダイレクトドライヴの950や948は自分で使った経験がないので、
ここではあくまでも920、927に話を限らせてもらうことになるが、
初期特性を長期間に渡り維持できる良さである。