Date: 8月 13th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)
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ロングランであるために(その3)

EMTの930st、927Dstはどういうアナログプレーヤーかといえば、
教務用としてつくられたモノということがまっさきにあげられる。

業務用(プロ用)ということは、一般にコンシューマーユーザーとは使い方が大きく異る、とよくいわれる。
とにかく使用時間が圧倒的に長い。
930stもDのつかない927stも放送局で使われることを前提としている。

927が40cmのディスクがかけられるようになっているのは、
まだテープが普及していなかった時代、
放送局用に少しでも時間を稼げるようにということで40cm径のディスクがあったときいている。
もともと927はそのためにつくられたプレーヤーなのだ。

放送局用だから、927Dstでは省かれているけれど930stにも927stにもクイックスタート・ストップ機構がある。
そのためにアルミ製のメインターンテーブルのうえにプレクシグラス製のサブターンテーブルがのる。
クイックスタート・ストップ機構に関係しているのは、このプレクシグラス製ターンテーブルであり、
基本的な使い方としてはアルミ製のメインターンテーブルは回転させつづけているわけだ。

放送局のスタジオに何台の930stが置かれているのかは、
スタジオの規模、予算などによってまちまちだろうが、それでも930stが稼働している時間は相当に長い。
その長さは、家庭で使われるのとは比較にならないほどのものであろう。

そういう使われ方をされても、へたらないことが、とにかく求められる。

いまはなくなってしまったがEMTは定期的に情報誌を出していた。
Courier(クーリエ)という情報誌の1971年の号に、927の原型となったR80のことが載っている。
EMTがR80のユーザーから50台の初期のR80を買い戻して測定した内容である。
つまり20年以上、スタジオという現場で使われてきた(酷使されてきた)R80が、
どの程度性能の変化が生じるのかをEMT自身が測定したわけだ。

結果はEMTが新品の状態で保証していた値(多少の幅がありその最大値)を、いずれも下回っていた、とあった。

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