Date: 7月 29th, 2012
Cate: D130, JBL
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D130とアンプのこと(その21)

電流に注目したところでは、ご存知の方は少ないようだが、
オーディオデバイスのMC型カートリッジ用のヘッドアンプHA1000はI/V変換方式を採ったものである。
I/V(電流・電圧変換)アンプとは、反転アンプの入力抵抗を省いた構成で、
MC型カートリッジのヘッドアンプとして使用する場合には、
カートリッジのインピーダンスがそのままアンプの入力インピーダンスとなり、
このことはヘッドアンプのゲインが接続するカートリッジのインピーダンスによって変化することでもある。

反転アンプのゲインは帰還抵抗を入力抵抗で割ったのだから、
ハイインピーダンスのカートリッジの場合、ゲインはローインピーダンス接続時よりも下る。

海外メーカーではクレルがコントロールアンプとパワーアンプ間の伝送方式、
CAST伝送も電流伝送である。

このCAST伝送をみてもわかるように電流伝送、電流駆動を採用するには、
単独では無理で必ず組み合わせる機器が指定される(専用となる)。

ヤマハのHA2は専用ヘッドシェルとの組合せだし、
ビクター、テクニクスの試作品のスピーカーシステムは、
パワーアンプとスピーカーでトータルのシステムとして設計・開発されている。
クレルのアンプも他社製のアンプと組み合わせるときには通常の電圧伝送しかない。

電流をパラメータとしたほうがいいのか、電圧をパラメータとしたほうがいいのか。
ここには考え方がいくつかあるだろうし、安易に電流をパラメータとすべきとは言い難いところがある。

つきつめていけば電流をパラメータとすべきなのかもしれない、とは考えている。
けれどもしすべてのオーディオ機器が電流伝送を採用し、スピーカーを電流駆動していたとしたら、
オーディオはここまで発展しなかったはず、とは確実にいえる。

電圧伝送、電圧駆動を採用したことにより、
コントロールアンプとパワーアンプの組合せは自由に選択できるし、
コントロールアンプへも、CDプレーヤー、テープデッキ、チューナーなど、
これらの機器を細かいことを気にせずに接続することができている。

スピーカーとパワーアンプの組合せにしても、そうだ。
極端なローインピーダンスのスピーカーを負荷としないかぎり、
スピーカーとパワーアンプの組合せは自由である。

かなり入力インピーダンスの低いパワーアンプが過去を含めてわずかとはいえ存在していたから、
そういうアンプと管球式のコントロールアンプを接続する際には注意が必要となるくらいで、
コンシューマー用機器を使う場合には、
送り出しのインピーダンスが接続される機器の入力インピーダンスよりも十分に低い値となっているので、
原則として、組合せと自由に行える。

この組合せの自由さ、つまりコンポーネントの面白さがあったからこそ、
オーディオはここまで発展してきたといえるわけだから、
電圧伝送・電圧駆動ではダメであるとは、私としてはいいたくない。

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