ワイドレンジ考(その36)
井上先生は、記事の中で、エンクロージュアの剛性の高さが、リジッドさが、音に、
特に低音に関しては、強く出ていると発言されている。
アメリカ・東海岸のスピーカーメーカー、ボザークやマッキントッシュの特徴でもある、
重厚で緻密な低域が、ごく低い周波数だけにとどまることなく、ウーファーのかなり上の帯域まで、
同じ音色で統一されている、とのことだ。
低域に関しては、アメリカ・東海岸のスピーカーに共通するものをもちながらも、
中高域になると、従来からタンノイトーンと呼ばれる、中高域の独特の輝きを、
他のタンノイのスピーカーよりも、目立たないようにバランスしている点が、
イギリスの伝統的なスピーカーにしか出せない独特の魅力へとつながっている、と指摘されている。
井上先生は、バッキンガムを鳴らすための組合せとして、
コントロールアンプに、バッキンガムのやや控えめな性格をカバーする意味合い、
音像を立体的にする目的から、コンラッド・ジョンソンのデビュー作のPreamplifier(管球式)を、
パワーアンプは、音に積極性を持たせるためにSAEのMark 2600を選ばれている。
これらのことは、バッキンガムが、どちらかといえば控えめであり、おっとりしたところを、
うまく補うためでもある。