Date: 1月 14th, 2012
Cate: 40万の法則, D130, JBL, 岩崎千明
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40万の法則が導くスピーカーの在り方(D130と岩崎千明氏・その22)

マッキントッシュのMC2205はステレオサウンド 52号に、
オーディオリサーチD79とマイケルソン&オースチンのTVA1は53号に載っている。
つづく54号は、スピーカーシステムの特集号で、この号に掲載されている実測データは、
周波数・志向特性、インピーダンス特性、トータルエネルギー・レスポンス、
残響室における平均音量(86dB)と最大音量レベル(112dB)に必要な出力、
残響室での能率とリアル・インピーダンスである。

サインウェーヴによる周波数特性とピンクノイズによるトータルエネルギー・レスポンスの比較をやっていくと、
44号、45号よりも、差が大きいものが増えたように感じた。
44号、45号は1977年、54号は1980年、約2年半のあいだにスピーカーシステムの特性、
つまり周波数特性は向上している、といえる。
ピークやディップが目立つものが、特に国産スピーカーにおいては減ってきている。
しかし、国産スピーカーに共通する傾向として、中高域の張り出しが指摘されることがある。

けれど周波数特性をみても、中高域の帯域がレベル的に高いということはない。
中高域の張り出しは聴感的なものでもあろうし、
単に周波数特性(振幅特性)ではなく歪や位相との兼ね合いもあってものだと、
54号のトータルエネルギー・レスポンスを見るまでは、なんとなくそう考えていた。

けれど54号のトータルエネルギー・レスポンスは、中高域の張り出しを視覚的に表示している。
サインウェーヴで計測した周波数特性はかなりフラットであっても、
ピンクノイズで計測したトータルエネルギー・レスポンスでは、
まったく違うカーヴを描くスピーカーシステムが少なくない。
しかも国産スピーカーシステムのほうが、まなじ周波数特性がいいものだから、その差が気になる。

中高域のある帯域(これはスピーカーシステムによって多少ずれている)のレベルが高い。
しかもそういう傾向をもつスピーカーシステムの多くは、その近くにディップがある。
これではよけいにピーク(張り出し)が耳につくことになるはずだ。

ステレオサウンド 52、53、54と3号続けて読むことで、
周波数特性とはいったいなんなのだろうか、考えることになった。

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