40万の法則が導くスピーカーの在り方(D130と岩崎千明氏・その17)
ステレオサウンドは44号で、サインウェーヴではなくピンクノイズを使い、
無響室ではなく残響室での周波数特性を測定している。
44号での測定に関する長島先生の「測定の方法とその見方・読み方」によると、
36号、37号でもピンクノイズとスペクトラムアナライザーによる測定を行なっている、とある。
ただし36号、37号では無響室での測定である。
それを44号から残響室に変えている。
その理由について、長島先生が触れられている
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(残響室内での能率、リアル・エフィシェンシーについて)今回はなぜ残響室で測ったのか、そのことを少し説明しておきましょう。スピーカーシステムの音はユニットからだけ出ていると思われがちですが、実はそれだけではないのです。ユニットが振動すれば当然エンクロージュアも振動して、エンクロージュア全体から音が出ているわけです。そして実際にリスナーが聴いているスピーカーシステムの音は、スピーカーからダイレクトに放射された音、エンクロージュアから放射された音、場合によっては部屋の壁などが振動して、その壁から反射された音を聴いているわけです。
ところが一般的に能率というと、スピーカー正面、つまりフロントバッフルから放射される音しか測っていないわけです。これは無響室の性質からいっても当然のことなのですが、能率というからには、本来はスピーカーがだしているトータルエナジー──全体のエネルギーを測定した方が実情に近いだろうという考え方から、今回は残響室内で能率を測定して、リアル・エフィシェンシーとして表示しました。
(残響室内での周波数特性、トータルエネルギー・レスポンスについて)今回のように残響室内で周波数特性を測定したのは本誌では初めての試みです。従来の無響室内でのサインウェーブを音源にした周波数特性よりも、実際にスピーカーをリスニングルーム内で聴いたのに近い特性が得られるため、スピーカー本来の性格を知る上で非常に参考になると思います。
(中略)この項目も先ほどの能率と同様に残響室を使っているため、スピーカーシステムの持っているトータルエナジーがどのようなレスポンスになっているかが読み取れます。
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ステレオサウンドでの測定に使われた残響室は日本ビクター音響研究所のもので、
当時国内最大規模の残響室で、内容積280㎥、表面積198㎡、残響時間・約10秒というもので、
壁同士はだけでなく床と天井も平行面とならない形状をもっている。
ただ、これだけの広さをもっていても、波長の長い200hz以下の周波数では部屋の影響が出はじめ、
測定精度が低下してしまうため、
掲載されているデータ(スペクトラムアナライザーの画面を撮った写真)は、200Hz以下にはアミがかけられている。