Date: 1月 2nd, 2012
Cate: 岩崎千明, 瀬川冬樹
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岩崎千明氏と瀬川冬樹氏のこと(その9)

ステレオサウンド 38号の特集は、オーディオ評論家──そのサウンドとサウンドロジィ、である。
インタヴュアーとして、井上先生、黒田先生、坂氏の三人が、
岩崎千明、瀬川冬樹、菅野沖彦、柳沢功力、上杉佳郎、長島達夫、山中敬三、井上卓也、
八氏のリスニングルームを訪ね、「音」を聴く、という内容である。

ステレオサウンドのなかで、どれがいちばん面白いかは、人によって違って当然。
同じ人にとっても、時代によって面白い、と感じるステレオサウンドは変ってくることだってある。
こんなことを書きながらも、それでもいちばん面白いステレオサウンドは、やはり38号だ、と私は言いたい。

いま私の手もとにあるステレオサウンド 38号は、私が購入した38号ではない。
この38号は、岩崎先生のご家族からいただいた38号であり、岩崎先生が読まれていた38号である。
いただいたステレオサウンドは38号だけではなく、他に数冊ある。
けれど、この38号だけはかなりくたびれていた。
おそらく、岩崎先生もステレオサウンド 38号は、くり返しに手にとり読まれてきたから、
こんなふうにくたびれているのだろう、と思われる。
ほかのステレオサウンドは、かなりきれいな状態なのだから。

ステレオサウンド 38号の特集は、
オーディオ評論家八氏のインタヴューがまとめられていて、これがメインの記事となっている。
それに井上先生による、八氏の再生装置についての文章があり、
八人に宛てた黒田先生の手紙がある。

瀬川先生への手紙「アダージョ・ドルチェ」、
岩崎先生への手紙「アレグロ・コン・ブリオ」には、
「さわやか」という黒田先生による表現が共通している。

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