Date: 9月 22nd, 2011
Cate: 純度
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オーディオマニアとしての「純度」(その5)

マーク・レヴィンソンは自家用としてはLNP2よりもJC2を使っていた、ときいたことがある。

LNP2は、もともとミキサーとして開発されたLNP1を原形としているし、
チック・コリアのコンサートではLNP2がミキサーとして複数台使用されている写真を、
当時のスイングジャーナルの記事で見たこともある。
そんなLNP2に対し、JC2はVUメーターもトーンコントロールもなく、
コントロールアンプとしての機能は最低限のものしか備えていない。
左右のレベルコントロールにしても、LNP2は連続可変のポテンショメーターを左右独立で備えているが、
JC2のそれは左右独立ではあっても1dBステップの切替えスイッチによるもので、
しかもラインアンプのNFB量を変化させてのものである。

同時期に同じ会社から出たコントロールアンプにも関わらず、LNP2とJC2の性格は異るところも多い。
LNP2は何度か改良されてはいったが、型番の変更はなかった。
LEMO端子の採用にともなってLNP2Lと型番末尾にLEMOの頭文字の「L」がつくようになっているが、
これは日本向け用のことであって、アメリカで売られていたモノには「L」はついていない。

JC2はLEMO端子の採用直後にML1と型番の変更があった。
このときからマークレビンソンのアンプの型番の頭には、マーク・レヴィンソンの頭文字のMLがつくようになる。
ML1はさらにML6というヴァリエーションを生み出している。

ML6はマークレビンソンのアンプで唯一シルバーパネルを採用したアンプであるだけでなく、
ステレオ時代になってからのコントロールアンプとしては、
少なくともコンシューマー用コントロールアンプとしては初めて、
シャーシーから電源部まで完全に独立したモノーラルコンストラクションを採用している。

しかもフロントパネルにツマミは2つだけ。
ML1では4つのツマミと4つのレバースイッチがあったのが、
ML6は入力セレクターとレベルコントロールだけとなった。
しかも入力セレクターもフォノ1系統、ライン入力1系統の必要最小限という仕様。

ここまで徹底しているわりには内部をみると、ML1のメイン・プリント基板をそのまま流用している。
つまり片チャンネルのモジュールは当然抜いてあるわけだが、
不要となっているチャンネルのパターンはそのまま残っている。

ここまで、いわば純度を追求しているアンプなのに、なぜモジュールが載るメイン・プリント基板を、
ML6専用につくり直さなかったのか。たいした手間でもないはずなのに……、といまでも疑問に思っている。

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