Mark Levinsonというブランドの特異性(余談・続×八 825Ω)

お手製のトランスを持ち込んだころ、早瀬さんは、マイクロのSX8000IIに、トーンアームはSMEのSeries V、
カートリッジはオルトフォンの、たしかSPU-Goldだったと記憶している。

昇圧手段は、ヘッドアンプではなくトランスで、あえてブランド、型番は記さないが、
当時、かなり高価なモノで、それに見合うだけの評価も受けていた。
私も、すこし気になっていたトランスだった。

STA6600をベースにしているとはいえ、そこそこ、いい音で鳴ってくれるだろうな、とは予想していた。
自分で作ったモノを正しく評価するには、本音で語り合える友人のところで聴くと言うのもやってみたほうがいい。

重量も価格も、私の自作トランスに較べてずっと重く高い既製品を聴いた後での音出し。
自慢話をしたいわけではない。
STA6600は、早瀬さんも以前使っていたことがあり、その時の環境では鳴らしていないものの、
ある程度は、STA6600の音の輪郭は掴んでただろうから、鳴ってきた音に驚かれた。

私も、正直、すこし驚いていた。ここまで変わるとは !
伊藤先生の言葉を思い出していた。

自作トランスはそのまま早瀬さんのリスニングルームにいることになった。

後日、ステレオサウンドのMさんが来られたときに、何の説明もなしに聴かせたら、
「すごく驚いていましたよ」という話も、
それから井上先生の評価も、早瀬さんから聞いている。

トランスそのものには何の細工もしていない。
何度も書いているが、取りつけ方、配線、アースの処理、インピーダンス整合に気を使って、
組み上げたものだから、トランスの基本に立ち返ってもらえれば、
私がどんなことをやったのかは、すぐにお解りになると思う。特殊なことは何もやっていないから。

私が言いたいのは、トランスは使い方ひとつで、大きく音が変化する。
電源を必要としない、プリミティブな素子だけに、生き物と表現された伊藤先生の気持が、
このトランスをつくったことで、多少なりとも理解できたし、そのことを知っていただきたい。

トランスの、らしさを活かし、臭さをできるだけ抑えることはできたといえる。

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