Date: 8月 16th, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(その25)

経験をつむことで、なるほど、レコードの偏芯の具合がリードインのノイズ音でわかるのか、
でもだからといって、偏芯をコントロールすることはできないんだろう……と思われる方もおられるだろう。

ステレオサウンドの試聴室でカートリッジの比較試聴があると、
20機種のカートリッジを1日で取材することになる。
カートリッジをひとつ聴くのに3枚の試聴レコードを使うとしたら、最低でも60回レコードのかけ替えを行う。
カートリッジの試聴はそれだけでは終らない。
針圧を調整して、インサイドフォースキャンセラーの量も変化させて、といった細かい調整をおこない、
限られた時間内で最適の状態で鳴らすようにする。
これがあるためにレコードのかけ替えの回数はさらに増える。
これらの作業は、すべて編集部(私)がやっていた。

ここで大事なのはカートリッジの調整の確かさだけではなく、
レコードの偏芯をどれだけある範囲内におさめることができるかである。
偏芯が大きすぎると、リードインのノイズ音が鳴った瞬間に、鬼の耳の持主といわれた井上先生から、
「ズレが大きいぞ」と指摘される。

これは指摘だけでなく、やり直せ、という意味も含まれている。
カートリッジの試聴には、そのぐらいを気を使う。

やり直す、これも一度で決めないといけない。
こういうことをくり返していると、
少なくともステレオサウンド試聴室にリファレンス・プレーヤーのマイクロのSX8000IIに関しては、
扱い馴れているから、ある範囲内で偏芯を収めることは、じつはそう難しいことではない。

このことはプレーヤーの使いやすさとはなにかとも関係してくることだ。
ターンテーブルプラッターの形状、その周辺のつくりによっては、
このコントロールがやりにくいものがある。かと思うと、
はじめて使うのに、すっと馴染んできて勘どころが掴めるプレーヤーもある。

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