井上卓也氏のこと(その19)
試聴の準備は、セッティングである。
その日使う器材を所定の場所に設置し、結線し、音出しが出来る状態にする。
特に新製品の試聴の時には、ほとんどがはじめて音を聴くモノばかりなので、
セッティングは、より重要度が増す。
3ヵ月毎に特集の試聴、新製品の試聴があるわけだから、そのたびにセッティングしているわけだ。
このセッティングを毎回同じに出来るかどうか。
同じようなセッティングでは、井上先生から合格点はいただけない。同じでなければならない。
そんなの簡単じゃないか、と思われる人も多いだろう。
セッティングした器材を、結線を外し、他の部屋の移動し、また元の部屋に持ってくる。
そしてもう一度セッティングする。
これを何度も、わずかな時間でやってみるといいだろう。
できれば、その音を第三者に聴いてもらえれば、さらにいい。
たいてい、いくつかの見落としがあって、同じようなセッティングどまりだったり、
逆にうまくいき、元よりもいい音になることもあるだろう。
私の場合、3ヵ月に一度ではあったが、井上先生にそうやって鍛えられたことになる。