五味康祐氏のこと(その9)
マッキントッシュのMC275には、RCAジャックが5つついている。
フロント右から、MONO INPUT、TWIN INPUT(L、R)、STEREO INPUT(L、R)となっている。
ステレオサウンド 55号「ザ・スーパーマニア 故・五味康祐氏を偲ぶ」に載っていた写真は、
目に焼き付くまで、じっと何度も見ていた。
だから、3月8日の練馬区役所の会議室に設置されていた五味先生のMC275を見て、
なにか違う……、と感じていた。
そのMC275のTWIN INPUTのところには、三角形に切られた赤と黒のビニールテープで、
左右チャンネルが色分けされていた。
区役所の方の説明では、運び込まれたときから貼られていたもので、
おそらく五味先生が貼られたものであろう、とのことだった。
だが、なぜ五味先生が、こんなところに、初歩的な色分けのシールを貼られるだろうか。
レコードのヒゲを、あれだけ嫌悪されていた五味先生である。
愛器にビニールテープなど、貼られるはずがない。
帰宅して、ステレオサウンドを開いた。
MC275の写真は、それほど大きくはない。どこにもビニールテープは貼られていない。当然だ。
さらに五味先生は、TWIN INPUTではなく、STEREO INPUTを使われている。
ビニールテープは、おそらく五味先生のお嬢様の由玞子さんが貼られたのだろう。
今回の試聴会は、TWIN INPUTが使われた。
五味先生のオーディオ機器の復活には、エソテリック/ティアックだけでなく、
ステレオサウンドの原田勲氏はじめ、編集部の方々も協力があったおかげだときいている。
オーディオ機器の操作は、ステレオサウンド編集部の染谷氏が担当されていた。
感謝しているからこそ、ひとつ言いたい。
なぜ、きちんと検証作業を行なわないのだろうか。
昔のステレオサウンドを見れば、すぐにでもわかることである。
誌面では小さな扱いの写真だが、編集部内には、フィルムがきちんと保管されている。
こちらで確かめれば、もっと細かいことまでわかる。
なぜ一手間を惜しむのだろうか。
オーディオという趣味は、その一手間の積み重ねによって、音を紡いでいき、築いていく行為だというのに……。
そして編集という行為も、まさしくそうであるのに……。
REPLY))
こんばんわ
初めてお便りいたします。
私は昭和40年代から50年代にかけてSS誌上で五味康祐氏と瀬川冬樹氏の記事を拝見して以来両氏のファンになったものです。
拙blog仲間からこちらのことを教えていただき漸くお伺いすることが出来ました。
練馬区でのコンサートは8日だったんですね・・
真に残念です。
氏の【西方の音】と【オーディオ巡礼】は私の座右の書であり、先日手にした【ベートーヴェンと蓄音機】からまた色々なことを教えて頂きました。
瀬川冬樹氏は私が当時勤めていた会社のオーディオ売り場が氏にコンサルタントをお願いしていたご縁もあり、誌上で拝見した【気がつけば輸入盤ばかり聴いていた】や、カートリッジのお話、トーン・コントロールのお話など、真摯な氏を髣髴とさせる文章は大変新鮮に感じられました。
blogでは厚かましくもaudiofanなどと名乗っておりますが、むしろ【レコード音楽愛好家】であります。
一人で音楽を聴くうちに【もっと大勢の人に聴いてもらいたい】という思いから喫茶店をしていた時期もありましたが事情により一昨年閉店し、今はぶらぶらしながら音楽に親しむ日々をすごしております。
このたび【レコード音楽愛好家club】などを勝手に作り、地元の公民館を借りてレコードコンサートを企画したりしております。
また改めてお伺いいたしますが今後とも宜しくお願い致します。
渡辺 洋
REPLY))
渡辺 洋さま
コメント、ありがとうございます。
練馬区役所での、五味先生のオーディオ機器によるレコードコンサートは、
これからも定期的に行なわれるそうです。
次回は5月開催だそうです。
3月20日には、練馬区役所のウェブサイトに詳細が公開されるとのことでした。
また21日発行の区報紙にも載るそうです。
オーディオ機器ではありませんが、五味先生のベーゼンドルファーによるコンサートが、やはり5月に開かれます。
詳細をこちらをご覧ください。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/museum/tenji/2009suiboku.html
REPLY))
こんにちわ
その後ご無沙汰をしております。
ご教示頂いた区のHPにて11月の開催を知り早速申し込んだところ【当選】の朗報が届きました。
氏が愛聴されたオートグラフ、そのオートグラフを鳴らすためだけに用意されたアンプとプレーヤー・・
どういうプログラムなのかは判りませんが、会議室という仮設の会場で、しかも僅か90分という時間の中で、そこでどんな音が再生されるのか・・
大変楽しみにしております。
取り敢えずご一報させていただいた次第であります。
渡辺 洋