妄想組合せの楽しみ(その36)
パラゴンと同じJBLのスピーカーシステムでも、プロフェッショナル・シリーズの4350、4343は、
楽器から放たれてマイクロフォンがとらえた音そのものを、即物的に鳴らす。
この、音そのものを即物的に鳴らす傾向は、
ヨーロッパのスピーカー、とくにイギリス系のスピーカーシステムの特質とは対照的なもので、
JBLのコンシューマー用スピーカーシステムにも聴き取ることができる、とはいうものの、
やはりそれが顕著なのは4350だったり4343だったりする。
あえていえば4350、4343といったスタジオモニター・シリーズを写実派とすれば、
パラゴンはあきらかに印象派(インプレッショニズム)といえるスピーカーシステムであり、
パラゴンが再現し聴き手に提示する音場は、できるかぎり録音現場の音場をそのまま再現しようというよりも、
その録音現場の「場」の雰囲気・印象を、うまく鳴らしたときは、実に生き生きと再現する。
パラゴンは、そういうスピーカーシステムだからこそ、コントロールアンプをうまく選択することで、
インプレッショニズムのスピーカーシステムとして、音楽をリアルに鳴らしてくれる、といえる。
もちろん、そのリアルさは、インプレッショニズムの表現としてのものである。
その意味で、ここで使ってみたい、組み合わせてみたいコントロールアンプには、
音の深みといった要素を色濃くもつモノにしたい。
いったい、そういうコントロールアンプがいくつあるだろう……。