私にとってアナログディスク再生とは(その15)
トーレンスがひとつのモデルを開発するのにどれだけの期間をかけているのかはわからない。
それでも、日本のメーカーと較べるとゆっくりしている、と思われる。
そしてTD226は、おそらくリファレンスが完成する前から開発が始まったのではなかろうか。
トーレンスのプレーヤーに搭載されるモーターの変遷をみていくと、そう思えてしまう。
TD126は、TD125のモーターのトルクに小ささによる使い勝手の悪さの反省からモーターを変更したものの、
リファレンスの完成によって得られた成果から、シンクロナス型に戻っていった。
その後、トーレンスから登場しているプレーヤーのモーターにDC型が採用されることはなくなった。
トーレンスはリファレンスの開発によって、
ベルトドライヴに関しては低トルクモーターの音質的な優位性をはっきりとつかんでいた、と考えていいだろう。
トーレンスは1883年の創立だ。
最初はオルゴールの製造からはじまり、1928年に電蓄をつくりはじめ、
1930年に電気式のレコードプレーヤーを発表している。
いまでも、一部のオーディオマニアから高い評価を得て、
現役のプレーヤーとして愛用されているTD124の登場は1957年。
TD124はいうまでもなく、ベルトとアイドラーの組合せによってターンテーブルを廻す。
その後、トーレンスはベルトドライヴだけに絞って製品を開発するが、
最初のベルトドライヴ・プレーヤーのTD150は、1964年もしくは65年に登場している。
リファレンスは1980年に登場しているから、
トーレンス最初の電気式プレーヤーから50年、TD124から23年、TD150から16年(もしくは15年)、
これだけの時間をかけて、トーレンスは低トルク・モーターという答えを出している。