妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その14)
現在のコーン型スピーカーを発明したのは、ゼネラル・エレクトリック社の技術者だった
チェスター・ライスとエドワード・ケロッグで、
1925年に発表したものがその原型というふうに説明されることが多いが、
実はこれより50年ほど前にすでに発明されている。
しかもアメリカとドイツで、ほぼ同時期に特許が申請されている。
けれど、ドイツ・シーメンスの技術者エルンスト・ヴェルマーが申請したのは、1877年の12月。
まだトランジスターはおろか真空管も登場していなかった時代ゆえに、当然アンプなどいうものはなく、
原理的には音が出るはずだということでも、実際に鳴らすことはできずに終っている。
19世紀の後半に逸早く、ピストニックモーションによるスピーカーを発明しているシーメンスが、
ピストニックモーションに頼らないリッフェル型スピーカーを、これまた逸早く生み出し、
その流れを汲むAMT型を、やはりドイツ人のハイル博士が生み出し、
さらにマンガー、ジャーマン・フィジックスからも、ベンディングウェーブのスピーカーが登場していることは、
ドイツという国柄と併せて、興味深いことだと思っている。
実をいうと、LS5/1を、「いま」作ってみたいと思いはじめたときに、
トゥイーターとしてまっ先に頭に浮んだのが、このAMT型である。