Mark Levinsonというブランドの特異性(その26)
ML2Lの2年後に、ML3Lが登場する。
200W+200WのAB級のパワーアンプである、このモデルは、ML2L同様、
マーク・レヴィンソンの設計によるものと、当初は発表されていた。
とは言うものの、ML2Lとはずいぶん違う仕上がりだった。
ステレオ構成ということを差し引いても、ML2Lとは違い過ぎる。
LNP2とJC2、コントロールアンプの、この2機種も、構成はずいぶん違うのだが、
イメージには共通するものが流れている。ディテールに対するこだわりは徹底して同じ。
そういう共通するものが、ML2LとML3Lには、ほとんど、というかまったく感じられなかった。
見た目のプロポーションからして、そうだ。
モノーラル構成とステレオ構成という違いがあるのを考慮しても、ML3Lはずんぐりむっくりした感じがつきまとう。
全体に黒を基調として、シャーシー左右にヒートシンク、フロントパネルは電源スイッチのみで、
ハンドルが付けられている。
こう書いていくと、ML2Lと同じことになるのだが、それだけである。ここで止まってしまう。
内部を見ると、さらにML2Lとの印象の違いは濃くなる。
整然と緻密なコンストラクションではなく、各パーツを接ぐ内部配線が雑然とした印象を与える。
平滑用コンデンサーとの位置の絡みがあるとは言え、2つの電源トランスが斜めに配置されているのも、
コンストラクションの詰めが甘い。十分な検討がなされていない、そんな感じをどうしても受けてしまう。