CD登場前夜は……
CD(というよりもデジタル)時代の到来によって、音の差がなくなるようなことが、一部で言われていた。
デジタル・イコール・画一化の技術だと思っていたのだろうか。
もちろん、とんでもない話だとほとんどの人が思っていたし、
もし仮にD/Aコンバーターに、各社の性能差がまったくなかったとしても、
それ以降のアナログ部が各社違うのだから、そんなことはありえないのに。
そんなことが言われたときから、今年で27年になる。
CDに続き、DATが登場し、ソニーのMDやフィリップスのDCCというのもあった。
パーソナルコンピューターの普及によって、MP3というフォーマット、
圧縮音源のフォーマットも、さらにいくつか登場している。
CDは16ビット、44.1kHzのPCM信号だったのに対し、DSD信号が出てきた。
PCMに関しても、よりスペックが上の、24ビット、96kHzなどもある。
CDだけ見ても、金蒸着CDが登場し、ガラスCD、それに最近各社から出ている新素材によるモノがある。
パッケージメディアも、CD、SACD、DVD-Audio、Blu-Ray Audioがあり、
デジタル配信も話題になっている。
iPodの存在も無視できない。そのiPodもハードディスク内蔵のモノと、メモリーのモノがある。
いったい、どれだけの人が、これだけデジタルの種類が増えることを予想しただろうか。
おそらく、ひとりもいないだろう。
いま、オーディオがコンピューターに寄り添おうとしている。
なぜ、オーディオが寄り添うのか。
コンピューターが寄り添う在りかたこそ、論じられることだと思う。