Date: 4月 23rd, 2011
Cate: KEF, LS5/1A
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妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その10)

実測グラフは、水平方向の周波数特性、つまり0°、30°、60°の出力音圧レベルを表示している。

LS5/5のグラフは、ほぼ全帯域にわたり0°と30°の線は一致している。
10kHz以上で2つのカーブは差を生じるが、そこまでは見事である。
これほどの帯域の広さで0°と30°の特性が一致しているのは、
「スピーカシステム」に掲載されている5機種のなかにはない。

比較的良好なのが、アルテックのA7-500で、数kHz以上から30°の高域特性がかなり下降ぎみで、
0°との特性のあいだに差がでてくる。
ただ0°の周波数特性のフラットさも考慮すると、LS5/5の特性は見事である。

さすがに60°の特性は30°の特性ほどではないけれど、
それでも大きな乱れもなく、やはり良好といえる。

LS5/5の20cm口径のスコーカーの開口部の横幅は10cmである。
写真をみるかぎり、ウーファーの開口部も、同じ寸法のようだ。

コーン型ユニットの開口部を四角にして、横幅を狭くすることによる指向特性の改善は、
LS5/5の実測データからはっきりと確認できる。

ただ指向特性は改善できるけれど、
スピーカーユニットの前にバッフル板が部分的に張り出しているわけだ。
この部分とコーン紙とのあいだには空間が生じる。密閉された空間ではないものの、
通常のスピーカーシステムでは生じない空間であることにはかわりない。

とうぜん、この部分でのデメリットも生じているわけで、これは誰しも考えることだ。
そう、誰しも考えることだから、BBCの技術者の当然そのことには気づいていたはず。
得られるものもあれば、失われるものもある。
それでも、彼らは、メリットとデメリットを天秤にかけて、四角い開口部を採用してきた。
1978年に登場したLS5/8まで、この手法は採用されてきた。

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