名器、その解釈(とハイエンド・オーディオ)
この項でも書いているように、
名器ということばも安っぽくなってしまっている。
特にオーディオにおいて、十数年前からそんな感じである。
少しでも話題になった製品をすぐに名器という人が増えてきている。
えっ、これが名器なの? そういいたくなる製品も名器と呼ばれるようになってきている。
それからインターネットの普及で、
オーディオマニア同士の交流は広がっていっているわけだが、
そうやって知りあった相手が使っている機器に対しても、
名器ですね、という人もいたりする。
この手の人にかかると、世の中には数え切れないほど多くの名器が、
オーディオにおいては存在することになる。
同じようにハイエンド・オーディオも、そんな使われ方をされはじめたように感じている。
ハイエンド・オーディオの明確な定義がないこともあろうが、
それにしても、これもハイエンド・オーディオと呼ぶの?、
そういいたくなる製品も、なぜかいまではハイエンド・オーディオと呼ばれてたりする。
ソーシャルメディアを眺めていると、
名器とハイエンド・オーディオは、上級機と同じ意味程度で使われていることがある。
どんなオーディオ機器であっても、誰かが使っているオーディオ機器である。
誰かが使っているオーディオ機器を批判したくない、という気持は理解できるが、
だからといって、名器とかハイエンド・オーディオとか、安易に持ちあげることもなかろう。
そういえば来月早々に発売予定のステレオサウンドの特集は、
「オーディオの殿堂」のはずである。
この特集が、いまの傾向に拍車をかけるのか、ブレーキをかけるのか。