GAS THAEDRAがやって来る(その3)
THAEDRAの音は、わりと誤解されているのかもしれない。
GASはGreat American Soundのことである。
そのGASのデビュー作がAMPZiLLAなのだから、
ユニークなネーミングと受けとる人もいれば、
ふざけたネーミングだと憤る人もいるのが世の中だし、
どちらにしてもGASと名乗る会社のアンプだけに、
いかにもアメリカンな音がするもの──、
とその音を実際に聴いていない人ならば思い込んでいたとしてもおかしくない。
GASの音は、当時から男性的といわれていた。
けれど如何にも、その力を誇示するような音では本来なかったのだが、
GASのアンプも、海外製アンプの例にもれず、
型番は同じでも製造ロットによって、けっこう音の傾向が変ってきている。
瀬川先生は、
《初期の製品だけが持っていた、素直さが魅力につながるような、控え目ゆえの好ましさ》、
そんなことを書かれている。
THAEDRAに、それはあてはまる。
むしろTHAEDRAとAMPZilLAが、特にそうだ、ともいえる。
THAEDRAはTHAEDRA IIになり、THAEDRA IIBが日本に入ってきている。
末尾に何もつかないTHAEDRAにしても、
内部をみると、こまかなところが変更されているのがわかる。
どの時期のTHAEDRAを聴いているのか、
それによってTHAEDRAの音の印象は、かなり違っていることだろう。
私は幸運なことに初期のTHAEDRAの音を聴いている。
私が20代のころに自分のモノとしたTHAEDRAもそうである。
今回のTHAEDRAは、まだ届いていないのでなんともいえないが、
ヤフオク!の写真で判断するかぎりでは、初期のモノの可能性が高い。
初期のTHAEDRAこそが最高、といいたいのではない。
私が求めているTHAEDRAは、初期のモノだというだけのことだ。