井上卓也氏の言葉(その2)
井上先生がよく言われていたことがある。
海外製品を買うときの心得だ。
「買うと決めたモノは、目の前にあるそれを買うこと。強引に奪ってでも買え!」
何度この言葉を聞き、何度この言葉を実感したことか。
国産オーディオ機器、とくに大メーカーのモノは型番が変わらない限り、
初期のロットの製品も中期のモノも後期のモノも、パーツが変わっていたり、
コンストラクションが微妙に変化してたりすることは、まずない。
ところが海外製品は、型番は同じでもロットが違えば中身も異る、そう思っていたほうがよかった。
少なくとも1980年代までは、そうだった。
有名なマランツ#7だって、ボリュームの銘柄が変っているし、コンデンサーも大半はスプラーグ製だが、
ごく一部にグッドオール製が使われているものもあると聞く。
しかもマランツ#7はラグ板を使ったワイヤー配線だから、作り手の僅かな技倆の差も、
バラツキとなって出てきても不思議ではない。
マークレビンソンのLNP2やJC2も、ずいぶんロットによってパーツが違う。
初期ロットがいいと言う人もいるだろう、後期のほうがいいと言う人がいてもいい。
大事なのは、音を聴いて、猛烈に欲しい、買いたい、買う! と決めたならば、
聴いた現物を買ったほうがいい。
キズがあっても、多少くたびれた感じであっても、それを買うべきだ。
新品の方がもっといい、と思いたがる。私だって、そうだ。
でも、新品の入荷を待って購入したとしよう。それが、聴いて惚れたモノと、
まったく同じだという保証は、当時の海外製品にはなかった。
もちろんもっと気にいるモノである可能性もある。
どちらを採るかは、その人次第だ。
REPLY))
はじめまして、SS誌は最近はすっかりご無沙汰ですが、井上先生が執筆されていた頃は拝見しておりました。引き出しから知識がいくらでも出てくるという感じの方でしたね。いろいろ勉強になりました。
REPLY))
moさま
コメント、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、井上先生は、知悉されていたという印象です。
井上先生から、多くのことを教わりました。
audio identityへのリンク、ありがとうございます。