SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その3)
スレッショルドのSL10を、いまでも欲しいとは思っているものの、
SAEのMark 2500と組み合わせての音を期待しているわけではない。
組合せばかりは実際に、
その音を聴いてみないことにはいえないことが多々あるのはわかっている。
それでも直感として、うまくいきそう、とか、あまり合わなさそう、というものはある。
SL10とMark 2500は、ひょっとすると意外な音を聴かせてくれる可能性がなくもない──、
そう感じさせるところはあるが、あまり合わない、と思う気持の方がはるかに強い。
もっとはっきり書けば、SL10の音を聴いて感心したことがない。
といってもSL10の音をじっくり聴いたわけではない。
数回、聴く機会があったくらいなのだが、
そこでの印象は、ステレオサウンドでの菅野先生、瀬川先生の評価にかなり近いものだった。
悪くはない音である。
クォリティの低い音というわけでもないのだが、
音楽を聴いてワクワクするかというと、そうではない。
どこか禁欲的なところを感じてしまう。
禁欲的ということでは、スレッショルドのパワーアンプにも共通してある性格である。
少なくともSTASISシリーズまでは、そう感じていた。
それでも800AとかSTASIS 1には、凄みがあって、
決して禁欲的という域に留まらない表現力の深さと大きさがあった。
けれどSL10となると、そういうところを音に感じない。
コントロールアンプのラインナップ、
パワーアンプのラインナップの充実度の違いよりも、ここのところに、
スレッショルドはパワーアンプを得意とするメーカーということを感じるわけだ。
SL10のデザインは、それでも欲しいと思わせる。