Date: 10月 14th, 2020
Cate: ヘッドフォン
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AUSTRIAN AUDIO

ステレオサウンド 75号の特集「実力派コンポーネントの一対比較テスト 2×14」で、
菅野先生がAKGのヘッドフォンK240DFについて書かれている。
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 そしてごく最近、オーストリアのAKGから出たK240DFスタジオモニターという、ダイナミック型のヘッドフォンに出合い大いに興味をそそられている。このヘッドフォンは、まさに、私がSRΛブロを活用してきた考え方と共通するコンセプトに立って開発されたものだからである。K240DFのカタログに書かれている内容は、基本的に私のSRΛプロの記事内容に共通するものであるといってよい。ただ、ここでは、これを使って調整するのは、部屋やスピーカーではなく、録音のバランスそのものなのである。つまり、よく整った調整室といえども、現実にその音響特性はまちまちで、同じモニタースピーカーが置かれていてさえ、出る音のバランスが違うことは日常茶飯である。私なども、馴れないスタジオやコントロールルームで録音をする時には、いつもこの問題に悩まされる。便法として、自分の標準とするに足るテープをもっていき、そこのモニターで鳴らして、耳馴らしをするということをすることさえある。さもないと、往々にしてモニタ一にごまかされ、それが極端にアンバランスな場合は、その逆特性のバランスをもった録音をとってしまう危険性もある。
 K240DFは、こうした問題に対処すべく、ヘッドフォンでしかなし得ない標準化に挑戦したもので、IRT(Institute of Radio Technology)の提案によるスタジオ標準モニターヘッドフォンとして、ルームアクースティックの中でのスピーカーの音をも考慮して具体化されたものである。そして、その特性は平均的な部屋の条件までを加味した聴感のパターンに近いカーヴによっているのである。つまり、ただフラットなカーヴをもっているヘッドフォンではない。ダイヤフラムのコントロールから、イアーキヤビティを含めて、IRTの規格に厳格に収ったものだそうだ。そのカーヴは、多くの被験者の耳の中に小型マイクを挿入して測定されたデータをもとに最大公約数的なものとして決定されたものらしい。AKGによれば、このヘッドフォンは〝世界最小の録音調整室〟と呼ばれている。部屋の影響を受けないヘッドフォンだからこそ出来るという点で、私のSRΛプロの使い方と同じコンセプトである。
     *
72号でも菅野先生は、スタックスについて書かれている。
スタックスは、当時の私には、やや高価だった。
それほどヘッドフォンに対しての関心もなかったので、
スタックスのヘッドフォンのシステムに、これだけの金額を出すのであれば、
もっと優先したいモノがあった。

K240DFは安価だった。
三万円しなかったはずだ。

気に入っていた。
ヘッドフォンで聴くことはそんなにしなかったけれど、
K240DFの音を信頼していた。

そのK240DFも人に貸したっきり返ってこなかった。
しょうがないから、また買うか、と思ったときには、K240DFは製造中止になっていた。
K240シリーズは継続されていたけれど、DFの後継機はなかった。

AKGは、K1000も出していた。
ヘッドフォンメーカーとして、AKGというブランドは、私のなかでは確固たる位置にいた。

けれど2017年にハーマンインターナショナルがサムスンに買収されてしまってから、
AKGが変ってしまった、という話をきいた。

そのAKGから独立した人たちが始めたのが、AUSTRIAN AUDIO(オーストリアン・オーディオ)だ。

マイクロフォンとともにヘッドフォンもある。
日本に輸入元もある。MI7という会社だ。

けれどヘッドフォンのページは、いまだ開設されていない。
海外では、今年の春から販売されている。

そのころから、いつ日本でも発売になるんだろう、と思っているのだが、
まだのようである。

ヘッドフォン祭が開催されていたら聴けたであろうに……。

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