使いこなしのこと(四季を通じて・その6)
夕刻、友人のAさんから短いメールがあった。
Aさんがスピーカーを買い替えていたのは、会って話すことが多いので知っていた。
一年(春夏秋冬)を通して、
さまざまな音楽を聴いてきた、と書いてあった。
そして、ようやくスピーカーのセッティングを少し変更したところ、
いい感じに鳴ってくれるようになった、ともあった。
スピーカーに限らずだが、特にスピーカーを買い替えた場合には、
オーディオの仲間に聴かせたくなるものだろう。
それに、その人の周りのオーディオマニアも、
早く聴かせてくれ、とせっつくことだろう。
「五味オーディオ教室」に書いてある。
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H氏は、私のオーディオ仲間の一人で、たがいに気心の知れている、にくまれ口のひとつも言い合える仲であり、時にはワイフの知らぬ彼の情事を知っていて、ワイフの前では呆けねばならぬ仲でもあるが、そのH氏が英ヴァイタボックスのクリプッシ・ホーンを購入したときのことだ。
かねてから私も試聴したいと思っていたものなので、さっそく、聴かせろと言ったがH氏はうんと言わない。まだ調子が出ないからと言う。
車でいえば新車で、馴らし運転が必要だと言う。
でも感じはどうかと訊いたら、「ちょっとホーン鳴きが気になるが、まずは期待にそむかぬえェ音じゃ」と言う。ホーン鳴きは、部屋の共振による場合が多いので、馴らし運転には関係あるまい、早く聴かせろと催促したら、それからしばらくしてようやく、聴きに来てもよいと言う。それで訪ねたが期待したほどの音ではなかった。
ところが、半年ほどして、また聴きに来いと言う。執拗に言う。そこで行って愕いたのである。まったく別物のように響いていた。
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ここに書かれて或ることを、どう解釈するかは、人によって微妙なところで違いがあるだろう。
私のなかでも、中学二年のころ読んだときと、
それからくり返しくり返し読むたびに、変化するところもあった。
ここには、四季を通じて鳴らすことの意味も含まれている、と解釈する。