TANNOY Cornetta(その18)
ステレオサウンド 37号、38号、39号掲載のコーネッタの記事は、
エンクロージュアの設計がどう決っていったのか、どう変化していったのかがわかる。
最初に試作されたエンクロージュアはフロントショートホーンが付いていない、
いわゆる四角い箱(レクタンギュラー型)である。
W53.0×H68.0×D45.0cmの外形寸法で、
バスレフの開口部が18.0×10.0cmで、ポート長16.5cmである。
この状態での周波数特性が載っている。
約45Hzまでほほフラットで、それ以下の周波数では急激にレスポンスが下降する。
典型的なバスレフ型の特性といえる。
コーネッタはコーナー型である。
つまり部屋のコーナーに設置するわけだ。
コーナーは二つの壁と床が交叉するところであり、コーナー効果が発生する場所でもある。
理想的な壁と床が用意されていれば、
低域のレスポンスは無響室での結果よりも、18dB上昇することになる。
これはあくまでも理論値であって、
壁と床が理想的な条件とは遠いほど、レスポンスはそこまで上昇しない。
一般的には8dBから12dB程度だと考えられる。
そのためコーネッタの低域特性は、コーナー効果を前提とした設計となる。
つまり低域に向ってなだらかにレスポンスが下降していくのが望ましい。
バスレフ型であるならば、ポート長は長いほど、コーナー型に適した低域レスポンスが得られる。
ただし、そのポート長がエンクロージュア内におさまらなければ意味がない。
記事には、48.6cmのポート長で、コーナー型として適した低域特性になる、とある。
こんなに長いポートは処理がむずかしい。
結果として、レクタンギュラー型と同じポート長にして、
エンクロージュアの内容積を増すことで、約100Hzからなだらかに下降するレスポンスを得ている。
約45Hz以下では急激にレスポンスが下降していく。
コーネッタの周波数特性は、38号に載っている。