世代とオーディオ(実際の購入・その2)
当時HPD295Aを搭載していたタンノイのスピーカーシステムEatonの値段は、80,000円だった。
Eatonは、Arden、CheviotとともにLegacyシリーズとして復刻されている。
現在の価格は400,000円だ。
いまタンノイはユニットの単売を行っていない。
Eaton搭載の10インチ口径の同軸型ユニットが、どのくらいするのかはわからない。
なので単純にEatonの値段だけで考えると、
1977年の五倍になっている。
HPD295Aが五倍で300,000円。
SSL1が五倍で440,000円。
合計で740,000円となる。
しかもくり返すが、SSL1は組み立てが必要なエンクロージュア・キットである。
これが完成品として発売されるとなると、組み立てにかかる費用、
梱包材もしっかりと大きなものとなるし、ここにかかるコストもけっして低くはない。
輸送の費用も、保管して置くための倉庫の費用なども、
キットの場合以上にかかる。
それにSSL1のフロントショートホーンの加工をながめていると、
いまこれだけの木工を依頼するとなると、当時よりもずっと高い費用がかかるではないだろうか。
そうなってくると、コーネッタ(完成品)の価格は、
80万円、90万円ほどになっても不思議ではない。
しかも、これはペアの価格ではなく一本の価格でしかない。
あくまでも単純に考えての予想価格でしかない。
現実にはもう少し安くなるのかもしれないし、高くなるのかもしれない。
どちらにしても、安い価格のスピーカーシステムではないことだけは、はっきりといえる。
7月1日のaudio wednesdayでのコーネッタの音をきいた人たちは、
ペアで八万円ちょっとスピーカーシステムだとは思わなかった。