TANNOY Cornetta(その15)
タンノイの同軸型ユニットは、ウーファーのコーン紙が中高域のホーンの延長になっている。
このことはすでに書いているし、
それだからこそコーン紙のカーヴ、それから材質、強度などがホーンとして、
その音に関係してくるわけだが、昨晩コーネッタを聴いていて感じたのは、
コーン紙をホーンの延長とする同軸型ユニットは、
プログラムソースがデジタルになってこそ本領発揮となることである。
アナログディスクだと、どうしても低域共振の影響から完全に逃れることはできない。
それゆえに1970年代の終りごろに、
アナログディスクのRIAAカーブの改訂が行われ、20Hz以下を減衰させるようになった。
それまでのRIAAカーヴは、35Hzから15kHzまでは厳格な規格が定められているが、
それ以下、それ以上の周波数帯については、35Hzから15kHzまでのカーヴの延長であればいいとなっていた。
いまでもいるようなのだが、サブソニックの影響でウーファーの振動板が前後に振れているのをみて、
低音が出ている、と勘違いする人がいた。
そういえば二年前のインターナショナルオーディオショウのあるブースでは、
あるアナログプレーヤーのデモで、ウーファーがかなり激しく前後していた。
にも関らず、そのブースのスタッフは誰一人として気にしていない様子だった。
アナログディスク再生の難しさ、大変さを体験していない人は、
サブソニックの影響について何も知らないのだろうか。
とにかくウーファーの振動板の動きが目に見えるようでは、それは音になっていない。
つまりタンノイの同軸型ユニットにおいて、ウーファーの振動板が目に見えるほど動いている、
サブソニックの影響を受けて振動している状態は、
ホーンの前半分が、そういう状態にあるということだ。
低域の安定性に欠けていては、タンノイの同軸型ユニットのメリットは損われる。
そう考えて間違いない。
タンノイが気難しいスピーカーといわれていたのは、
こういうところにも一つ原因があったように考えられる。
デジタルがプログラムソースであれば、機械の故障でもないかぎり、
サブソニックの影響はない。
しかも以前のCDの44.1kHz、16ビットだけでなく、
いまではサンプリング周波数も高くなり、DSD、MQAなども登場してきている。
同軸型ユニットにとって、いい時代といえる。