瀬川冬樹氏のこと(その20)
ラックスのアームレスプレーヤーのPD121をデザインされたのは瀬川先生だと、
一時期(4、5年ぐらい)、そう勘違いしていたことがある。
なにかの時に、「PD121は瀬川先生のデザインだ」という話が出て、それを信じていた。
瀬川先生のデザインと言われて、何の疑いも持たなかった。素直にそう思えた。
いまでも、そう信じてられる方もおられるが、
PD121のデザイナーは、47研究所の主宰者の木村準二さんである。
木村さんは、瀬川先生といっしょにユニクリエイツというデザイン事務所を興されている。
このときおふたりのもとで働いておられたのが、瀬川先生のデザインのお弟子さんのKさんだ。
木村さんから直接、Kさんからも、PD121は木村さんのデザインだと聞いている。
PD121のモーターは、テクニクスのSP10(最初のモデルの方)と同等品である。
同じモーターを使いながら、SP10の素っ気無く、暖かみを欠いている外観と較べると、
PD121の簡潔で大胆なデザインは、手もとに置いておきたくなる、愛着のわく雰囲気と仕上がりだ。
ステレオサウンド 38号を見ると、EMIの930stの他に、
瀬川先生は、PD121とオーディオクラフトのAC-300の組合せを使われていたのがわかる。
写真には、EMTのXSD15がついているのが写っている。
930stには、当然、TSD15がついてる。
なにも同じカートリッジを使われることはないのに、と思うとともに、
EMTに、そこまで惚れ込んでおられたのか、とEMTに惚れ込んだ一人として嬉しくなる。
エクスクルーシヴのP3とオーディオクラフトのAC-3000MCにつけられていたカートリッジは、
オルトフォンのMC30だったのかもしれないし、MC20MKIIだったのだろうか。
それとも、やはりEMTだったのか。