Date: 5月 6th, 2020
Cate: 使いこなし
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丁寧な使いこなし(その6)

こまかな使いこなしと丁寧な使いこなしは、
似ているようであって、実のところ、そうとうに違っている。

何度も書いているように、
オーディオは何か(どこか)ひとつ変えて、音は変化する。
その変化量は大きかったり小さかったりして、
極端に小さな場合には、人によっては、音なんて変らないじゃないか──、
そんなふうになったりするであろうが、それでも音は変っている。

ほかの人が見落しがちな、そんなこまかな音の変化に気づくことが、
丁寧な使いこなしにつながっていくとは考えていない。

これも何度か書いていることなのだが、
オーディオマニアは、その場で判断しがちである。

何を変える。その音を聴いて、パッとどちらがいいかを判断できることを、
耳がいい、かっこいいと思いがちな傾向があるが、
オーディオを職業としているのならば、そんなことも必要となってくるが、
自分の音に対して、そのことがもたらすメリットは、そんなにない、ともいえる。

なぜ、人は判断しがちなのだろうか。
判断するよりも大事なことは、そこでの聴き較べの結果を、
どちらがいい悪いではなく、そのまま自分の裡に蓄積していくことである。

それは武道をこころざす人が、
何度も何度も、毎日基本的な型を積み重ねていくのと同じなのかもしれない。

それでもただ漫然とくり返していく人と、
そうでない人との違いは、時間が経てばたつほどにはっきりと開いていく。

蓄積、積み重ねる。
これの意味をわかってのことでなければ、
比較試聴をどれだけ行ったところで、それほど身につかない。

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