「ゴドーを待ちながら」再読(その2)
最初テクニクスのスタッフの方によるSL-G700の説明があった。
長いのか、と思っていたら、来場者の気持がわかっている実に簡単な説明だった。
その後にUSBメモリーをフロントパネルにある端子に挿してのDSD再生、
それからSACDの再生、そしてMQAへ移っていくわけだが、
ここでMQAジャパンの方にバトンタッチ。
簡単に説明します、という前置きがだったけれど、意外に長い。
手元にはMQAのパンフレットもあるのに……、と思いつつも黙って聞くしかない。
結局18時5分くらいまでテクニクスのブースにいたけれど、
MQAの音をSL-G700では聴けずじまいだった。
こういう段取りは、今回のテクニクスだけではない。
延々と製品や技術の説明をするブースは、いまでも多い。
まず音を聴かせてほしい、とその度に思う。
一曲でいい。まず音を鳴らす、そして説明に入ればいいのに、と思う。
そんな来場者の気持を、テクニクスの人はわかっていたのだろう。
MQAの人はそうではなかった。
別に怒りがそこに対してあるわけではないが、
こういうことを毎年体験していると、そのことへの考えにも変化が生じてくる。
テクニクスのブースを足早に出て、東京駅の地下街まで歯の治療に向う途中、
何を待っていたんだろうか、と考えていた。
SL-G700によるMQAの音が鳴ってくるのを待っていた。
これははっきりしている。
でも、これだけなのだろうか……、と、
開始時間を待っている大勢の人たちの姿が重なってきて、
オーディオマニアは待っているのか、
待っているのだとしたら、何を待っているのか、
そんなことを連想していた。