Date: 10月 19th, 2019
Cate: 音の器
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音の器(その2)

デッカ・デコラは、音の器だ、と確信した。
だからこそ名器と感じるのだろう。

デコラは電蓄。
電気蓄音器である。

電気を使わない蓄音器があった。
蓄音器はグラモフォン(gramophone)だ。

誰がグラモフォンを蓄音器と訳したのかは知らない。
そして、最初が蓄音器だったのか蓄音機だったのか、も知らない。

どちらも「ちくおんき」だから、
蓄音器であろうと蓄音機であろうと、違いはない──、
といってしまえば、それまでだと思う私だ。

私は蓄音器をとる。
音を蓄える器であるからだ。

だからデコラの電蓄は、私にとっては電気蓄音器である。
デコラという、立派な音の器であり、
あの時代のイギリスだからつくりえた音の器だ、とも思っている。

蓄音機であれば、そこには実のところ完結はうまれないのかもしれない。
蓄音器であればこそ、完結が得られたのだろう。

もちろん蓄音機であることを否定はしない。
蓄音機であることは事実である。

けれど、そこで完結を得たことで蓄音器でもある、と考えられるはずだ。

もちろんデコラをうみだしたのはイギリス人である。
彼らにとって、デコラはgramophoneだから、
蓄音器も蓄音機も、そんなことはまったく関係ない。

それはわかったうえで書いている。

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