コントロールアンプと短歌(その8)
1982年に登場したCDとCDプレーヤーの登場は、
現象として捉えてみると、オーディオに画一化をもたらした、といえるのではないか。
CDの規格は、サンプリング周波数が44.1kHzで、量子化数は16ビットである。
一体型のプレーヤーであっても、セパレート型のプレーヤーであっても、
この点はまったく同じである。
さらには一万円程度で買えるローコストのCDプレーヤーであっても、
百万円、さらにもっと上の価格帯のCDプレーヤーであっても、
そのスペックはCDの規格によって制約されているから、
基本性能としては、同じといえる。
さらには再生の、この規格は、
録音側のスペックにもなっていった。
CD登場以前の、レコード会社はそれぞれにデジタル録音を研究・実験、
実用化に向けていた。
サンプリング周波数もまちまちだった。
16ビットもあれば14ビットもあった。
それがCD登場により、44.1kHz、16ビットに統一されてしまった。
CDというフォーマットの登場は、画一化である。
画一化には、抑圧という側面もある。
規格というものは、すべてそうなのかもしれないが、
それでもアナログ時代の規格と、デジタル時代の規格とでは、
画一という点では、ずいぶん違う。
画一化は浸透した。
浸透したからこそ、それを抑圧と感じる人が出ていた、とは考えられないだろうか。
アナログディスクのブーム、さらにはカセットテープのブーム、
そういったことを何かで目にする度に、
ブームの理由は一つではないはずだが、
それでも抑圧からの逸脱行為として、アナログディスクの選択、
カセットテープの選択があるようにも思うのだ。